なぜ日本でiPhoneは売れてアメ車は売れないのか?
なぜか最近、1年以上前に書いたブログのアクセスがここ最近急に増えていました。
なんでだろう?と思って調べてみたら、どうもTBSの報道が影響しているみたいです。
トランプ大統領が
「日本の規制がアメリカ車の販売を妨げている」
と主張している、と言う内容の記事(映像)。ちょっとミスリードしている感のある内容でした。
と言いますのは、この内容だけだと、これからアメ車を正規輸入する場合1台につき200万円近くのコストがかかり、それが障壁になっているのか…、と勘違いする人が出てくる可能性がある内容になっているからです。
確かに、排ガスや加速騒音の試験費用や、ウィンカーレンズのオレンジ化、シートベルト警告灯等の保安基準適合にかなりコストがかかることは事実です。厄介なのは、アメ車を輸入している業者さんが説明しているリアウィンカーでしょう。最近の自動車はLED化されていて、容易に改造ができません。また、最近の自動車はコンピュータによる管理がかなり進んでいるので、ライトの電圧変化で球切れ警告灯が点灯するので、それも改造を難しくしています。
ただ、このニュースでは、ウィンカーレンズの色やシートベルト警告灯のことについて
“アメリカ側は、こうした日本の安全基準などが“非関税障壁”としてアメ車の販売を妨げていると主張しています。”
と述べていますが、アメリカ側の主張している非関税障壁はこんな細かい話のことでは無いと思います。
今回の1台200万円近くのコストがかかるって話は、小ロットで輸入している並行輸入車のことです。正規輸入されていないモデルだけど、どうしてもこの車が欲しいんだ!と言う熱狂的なアメ車ファンを相手にされている商売です。
アメリカのJeepが日本に正規輸入されていることは皆さんもご存知だと思います。正規輸入されている車両は、国土交通省が安全性や環境性能が日本の保安基準に適合していることを車種(型式)ごとにまとめて審査します。一度型式認証を取得すれば、同型の車両の個別検査が簡略化されます。排ガス試験や加速騒音試験も省略されることになります。
本来、自国の自動車を外国で販売する場合、その国に合わせたローカライズを行います。
- スピードメーターの表示がキロ表示(km/h)なのかマイル表示(mph)なのか
- 温度表示が摂氏(℃)なのか華氏(℉)なのか
- オーディオの周波数や現地で使えるナビ等
- メッセージの言語
複数の国で販売されることを想定して、km/hとmphを両方表示していたり、これらの表示を管理画面から容易に切り替えできる車種も多いです。
日本の自動車メーカーも、アメリカで販売する車両はアメリカで使用することを考慮してローカライズしています。先程の表示だけではなく、ウィンカーのレバーの位置、フロントのオレンジ色の反射板取付たりしています。また、タンドラやタコマのような車種は日本で販売することは全く考えられていません。アメリカ人が好む車両を製造・販売しているのです。
iPhoneはアメリカのAppleの製品ですが、日本で売れまくっているのは、製品そのものの魅力に加え、ニーズに合うよう完璧なローカライズができているから。
このTBSニュース、並行輸入車に関するところはちょっとミスリードっぽくなっていましたが、以下のように述べています。
“大手自動車メーカー関係者 「ニーズが日本人に合っていないだけでは」”
“「日本車だと、すって回れるところでも、アメ車だと前なんかもギリギリで入っていかないといけない。運転技術が必要なところはあります」”
すべてはこれ、つまりローカライズが出来ていないからアメ車が日本で売れないのです。誰もが分かっていることかもしれませんが、それをどうやってトランプ大統領に伝える理解してもらうかが難しそう…。
好きな車と、暮らそう。
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