オートオークションの搬入制限
日本トップのオートオークション。
その会場の搬入制限が業界内で話題となっている。
基本的にオートオークションは「周年記念開催や特別イベント」がある日は「流動性が上がる(落札されやすい)」と踏んだ業者からの搬入が爆発的に増えます。
しかし、ここ最近の異常なまでの出品過多の裏には、イベントという一過性の要因だけでは説明のつかない、業界全体の構造的な地殻変動がいくつも重なっています。
現場の肌感覚とも合致するであろう、主な理由を数点纏めてみました。
1. 自動車メーカーの増産体制シフトによる「下取り車の玉突き」
数年前の半導体不足による新車大減産・長納期化の反動が、現在完全に牙をむいています。
・バックオーダーの消化完了
各メーカーが生産ラインをフル回転させ、溜まっていた新車のバックオーダーを急速に吐き出しました。
・下取り車の大量発生
新車がユーザーに届くということは、それと引き換えに膨大な数の「下取り車(既販車)」が一斉に市場に放出されることを意味します。
この玉突き現象による流入量が、現在のAA会場のキャパシティを圧迫する最大の元凶です。
2. 国内小売りの冷え込みと「長期在庫の損切りラッシュ」
物価高や実質賃金の伸び悩み、さらには自動車ローン金利の先高感などから、国内のインショップ(店頭販売)の動きは決して好調とは言えない。
・資金回転の優先
店頭で30日、60日と据え置かれた在庫は、これ以上寝かせると相場下落の直撃を受けます。
そのため、多くの販売店が「利益ゼロでもいい、とにかく現金を回収して次のタマに入れ替える」という防衛策に走っています。
・資金需要の集中
特に決済期や税金支払いのタイミングが絡む時期は、イベント会場の集客力(応札の強さ)を当てにして、全国のショップから「換金目的」の長期在庫車が津波のように押し寄せます。
3. 輸出仕向け国の「制度変更」と「買い控え」による国内滞留
これまでどんなタマでも高値で吸い上げていた輸出市場の「パイプ」が、局所的に細くなっていることも大きな原因です。
・ロシア・アフリカ等の規制影響
通貨ルーブルの乱高下や決済ルートの制限、あるいは仕向け国側の中古車輸入年式規制の変更などが定期的に発生し、輸出業者が動きを止める(または極端に指値を下げる)瞬間があります。
・国内への逆流
「AAに出せば勝手に輸出へ飛んでいく」はずだった車両(過走行車、低年式車、あるいは特定のディーゼル車など)が国内にダブつき、売れ残った流札車が翌週以降に再出品されることで、実数以上の「溢れ感」を作っています。
4. ドバイ経由ルートの金融・決済規制の強化
中東(特にドバイ)は、全世界、とりわけアフリカや中央アジア、ロシアへと中古車を中継する「最大のハブ」として機能しています。
・マネロン対策と決済の遅延
近年、国際的な金融監視の目が厳しくなったことで、中東のバイヤーが日本へ送金する際の審査が非常に厳格化しています。これにより「買いたくても手元の資金がすぐに日本に届かない」というタイムラグが発生し、買い控えに繋がっています。
・現地法規制のアップデート
ドバイ内や周辺国での輸入規制(年式制限や左ハンドルコンバージョンに関するルールの厳格化)が突発的に変わるため、現地のブローカーがリスクを避けて一時的に買い付けの手を止めるケースが頻発しています。
5. パキスタンをはじめとする仕向け国の「外貨危機」
中東バイヤーのバックにいる実質的な需要国(パキスタンやスリランカなど、アジア〜中東近隣国)の経済状況が直撃しています。
・L/C(信用状)の発行制限
これらの国々では深刻な外貨不足が続いており、政府が自動車のような非必需品の輸入に対してL/Cの発行を厳しく制限しています。
・買い手側の「実需」の消滅
ドバイのヤードまでは車を持っていけても、その先の最終目的地で通関できないリスクがあるため、AA会場での指値が極端に下がるか、そもそも応札に加わらなくなっています。
6. 紅海リスクによる「海上運賃の高騰」と「輸送日数の長期化」
中東や欧州、アフリカへ向かう船の航路における地政学的リスク(紅海周辺の治安悪化)も、日本のAA会場に大きな影を落としています。
・コンテナ・船腹不足と運賃ハネ上がり
スエズ運河を避けて喜望峰を迂回するルートへの変更を余儀なくされ、海上運賃が従来の数倍に跳ね上がりました。
・資金回転の悪化: 日本の会場で落札してから現地のバイヤーに届くまで、これまでの倍以上の月数がかかるケースが出ています。運賃が高く、資金の回収スピードが劇的に落ちるため、輸出業者は「今は無理してタマ数を仕込めない」となり、結果として車が国内の会場に滞留することになります。
こんな感じです。
数点もあるというのが凄いことですよね。
先日も名古屋の会場へ行ったとき、駐車場ゲート前に長蛇の列。
駐車場利用者が帰ることも多いので適度に列は流れますが、積載車やトレーラーの列は別。
積載車専用駐車場に入るための列が道路を閉鎖。
近隣工場などから大きなクレームとなったのは言うまでもないでしょうね。
私がゲートを通過する前に並んでいた「ジムニーノマド」を積んだトラック。
下見、セリ、食事をして出てきたとき、数台進んだ状態でした。
それもそのはず、トレーラーなどは5~6台下ろして代理出品、売約車両を代理搬出して積込むので1台の滞在時間が長い。
こうしたことから搬入制限が掛かった訳です。
「売上高1139億円、営業益598億円」、ともに過去最高額を更新していました。
儲かって仕方ないでしょうね・・・。
会場利益も凄いでしょうから、せめて食堂のコップをキレイにしてください(笑)
以上、業界ニュースでした。
好きな車と、暮らそう。
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