超低粘度エンジンオイルが不足している3つの理由

2026年5月17日

アメリカは世界最大の産油国なので、中東リスクの影響を受けにくいイメージがありますよね?

しかし、そんなアメリカでも、一部の車種に使用しているエンジンオイルが不足し始めています。

興味深いことに、このエンジンオイル不足は原油不足とは関係がないのです。

トヨタと日産のエンジンオイルが不足し始める

不足しているのは、日本の自動車メーカー、トヨタと日産のエンジンオイルです。

まずはトヨタがサービス部門に対して、エンジンオイル供給不足に備え、在庫を節約するよう指示する通達を出しました。その数日後に、日産も同様の通達を出しました。

日産の通達文書には、純正オイル供給量を前年比55%水準に制限し、配給制にする旨に加え、価格改定の可能性も示されていたそうです。

不足しているエンジンオイルは超低粘度タイプ

トヨタや日産が不足していると述べているエンジンオイルは、超低粘度(しゃびしゃび)なタイプです。

具体的には

0W-8、0W-16

主にトヨタのハイブリッド車、日産のe-POWERが使用するオイルですね。

この0W-8や0W-16のエンジンオイルを一般的な欧米の車に使用したらどうなるでしょうか?恐らく瞬時に壊れることはありませんが、乗り続けると高確率でエンジンに不調が現れたり、寿命が短くなる恐れがあります。

超低粘度エンジンオイルが危険という訳ではなく、ミクロン単位の極限の緻密さで、超緊密クリアランスで組み上げられた加工精度の高いエンジンには最適。ドイツ車の場合、アウトバーンのような高速走行に耐えるために、あまり粘度が低いオイルは使用しません。それでも環境規制が厳しくなっているので、ドイツ車メーカーも低粘度化が進むと思われます。

なぜ超低粘度オイルが不足しているのか?

アメリカでは5W-30のようなエンジンオイルは不足していません。0W-8や0W-16のような超低粘度オイルが不足している理由は、原油不足ではありません

0W-8や0W-16などの超低粘度エンジンオイルに必要な「高品質な基油(Group III等のベースオイル)」です。これは中東などで生産される超高度精製油で、不純物が極めて少なく、低粘度でも油膜を保てる特殊素材。近年は燃費規制でハイブリッド車の需要が急増している一方、中東情勢や物流混乱で供給が不安定になり、不足が懸念されています。

アメリカではEVが失速し、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が売れまくっています。HEVやPHEVがこのまま増え続けると、需要と供給のバランスが崩れ、さらに超低粘度オイルが不足します。

まとめると…

超低粘度エンジンオイルが不足している3つの理由

① 高品質なベースオイルは作れるところが限られている
② HEVやPHEVの需要急増で需給バランスが崩れた
③ 中東情勢の影響で生産・輸送が不安定化

当面の対策は、0W-8不足時には→ 0W-16を使う、0W-16不足時には→ 0W-20を使う、のように、一つ上の粘度のオイルで凌ぐ、でしょうか(どんな影響がでるか分からないので、メーカーの指示に従うべきです)。ただし、冬の気温が低い地域ではこの方法は良い解決策とは言えませんね。


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