BYD、ハンガリーに建設中の工場で深刻な労働侵害か?

2026年4月29日

飛ぶ鳥を落とす勢いで世界の自動車シェアを獲得しているBYDですが、思わぬところでブレーキがかかる可能性があります。

他メーカーを圧倒する速度で開発が進むBYDは、イノベーションで負ける可能性は低いのですが、強味でもある勢いが問題を起こしている可能性があるのです。

ハンガリーに建設中の工場で深刻な労働侵害?

BYDはEUへの関税回避をするために、ハンガリーに生産工場を建設しています。ハンガリーで生産した車両は中国産ではなくEU産の扱いになるからです。ハンガリー工場は2023年末に建設計画を発表し、今年中には量産開始する予定でした。

しかも工事は計画より早く進み、2~3ヶ月前倒しで量産開始できそうなペースでした。

しかし、中国の労働問題を専門に調査・監視する非営利団体(NGO)のチャイナ・レーバー・ウォッチ(CLW)がハンガリー工場建設現場の労働環境を調査したところ、以下の疑いがあることが分かりました。

  • 週休0日、1日12~14時間労働。
  • 多くの労働者は、適切な医療保険が含まれる就労ビザを持たない。
  • 建設現場で事故による死者や負傷者が出ている。
  • 残業代未払。
  • 労働者の賃金の2~3割を仲介業者が差し引く
  • パスポートを取り上げられる等労働者の移動制限(外出制限等)。

ハンガリー工場の建設を委託している企業「AIM Construction Hungary」は、中国の「錦江建設集団(Jinjiang Construction Group)」の子会社です。錦江建設集団は以前ブラジルのBYD工場建設の際に「奴隷に近い状態」で労働者を働かせていたとして、スキャンダルになった企業。ハンガリーでは名前を変えた子会社を通じて、再び同じグループを起用していた疑いが持たれています。

チャイナ・レーバー・ウォッチ(CLW)とは

ハンガリーのBYD建設現場を調査して(NGO)のチャイナ・レーバー・ウォッチ(CLW)ですが、これがとても興味深いことに、

  • 本部:アメリカ・ニューヨーク
  • 設立者:李強(Qiang Li)

なんと設立者が中国人です。李強氏は中国出身の労働活動家で、中国の労働者の人権を守り、サプライチェーンの透明性を高めることがCLWの目的だと言われています。

つまり、李強氏は中国政府からはかなり強く警戒・敵視されている側の人物、ほぼ確実に中国国内での活動はできないと思われます。

CLWが調査したということは、ハンガリーのBYD建設現場には中国から連れてこられた労働者が、働いているってことですね。

EUにとって攻撃のチャンスなのか

EUは労働者の権利や人権に関してかなり厳しいルールを設けています。中国では通用していたことでもEUでは通用しません。例えハンガリーの建設現場で過酷な労働をしている人が中国人であっても、EU圏内のことであれば容赦なくEUルールが適用されます。しかもEUでは今まさに「人権デューデリジェンス指令(CSDDD)」や「強制労働防止規則」等の人権侵害を厳罰化する法律を次々と施行している最悪のタイミング。

今回の労働侵害疑惑をきっかけに、EUは関税以外の別のルートを使ってBYDを攻撃するかもしれません。BYDとして製品の品質で戦うのではなく企業としての資格を問われる戦いを強いられる恐れがあります。


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