ボルボEX30のリコール修理はなぜ進まないのか
VOLVOのEX30が、バッテリー発火リスクがあるとして大規模リコールになりました。
満充電時、火災のリスクがある非常にリスクの高いトラブルですが、リコールが出るも修理が進まない状況が続いています。イギリスではリコール対象のEX30は10,300台ですが、リコール発表から4ヶ月経過した4/20時点で修理済みは10台未満です。
リコール修理が完了するまで、対象のEX30所有者はバッテリー充電目標を70%以下に設定して満充電を避ける、という使用方法を強いられる形になっているそうです。長距離運転しないのであればそれほど不便ではないとは思いますが、所有者にとっては内容が内容だけに早く修理して欲しいはず。
EX30のリコール内容
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不具合の内容
特定のサプライヤー(山東吉利欣旺達動力電池)が製造したバッテリーが、製造工程上の不備により、高充電時に不安定になる(セルモジュール内部で陽極と陰極の容量に不均衡が生じる)ことがある。 -
リスク
バッテリーを高い充電レベル(満充電に近い状態)にした場合、過熱し、最悪のケースではショートや火災に繋がる恐れがある。 -
対象車両
2024年から2026年モデルのシングルモーター・エクステンデッドレンジおよびツインモーター・パフォーマンスモデル。※51kWhのLFPバッテリーを搭載したモデルは対象外。
リコール修理が進まない原因
なぜEX30のリコール修理が進まないのでしょうか。それはEVならではの構造的な問題があって、サプライチェーンと物流、高い修理難易度の複合的な問題が発生しているからと言われています。
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リコール対象部品がバッテリーだった
EX30のリコール対象部品がEVバッテリーだったことが修理遅れの大きな原因です。EVバッテリーは生産に時間がかかります。また、世界でも限られた工場でしか製造できません。そして、大きくて重いEVバッテリーは危険物扱いになるため輸送ルールがとても厳しく、物流にかかる負担がかかります。専門の梱包、専用の輸送ルート、厳格な規制遵守が必要なのです。
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EV特有の高い修理難易度
EVのバッテリーモジュール交換は大容量の電力を扱うため、専用のリフトやバッテリーパック冷却系の真空引きツール等の特殊設備が必須。修理には専用スキルも必須で、研修を受けて資格のある整備士しか作業することができません。最寄りのディーラーでは「対応不可」なんてこともあるかもしれません。また、「交換して終わり」ではなく、
「交換前の事前準備」 → 「交換」 → 「交換後の車両設定」
のような流れになるでしょうから、1台のリコール修理にかかる作業時間も長くなると思います。
ハマると厄介なEVのリコール
内燃機関車のリコールと比べて、EVのリコールはハマると非常に厄介です。ソフトウェアのアップデートで解決する問題であれば非常に簡単ですが、特にバッテリー関係の物理的不具合は大変な作業になります。
以前、ジャガーのEV「I Pace」がバッテリーリコール修理ができず、一部の車両でリコール修理を断念したことがありました。
これまでも、ATや直噴エンジンのような新しい技術が出るたびに修理の難題が待っていました。EVのバッテリーやe-Axleのような主要部品は以前の新しい技術と比べて次元が違うレベルで修理難易度が高くなっています。
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