スペアキーについて
昔のように「町の鍵屋さんで数百円、数分で作ってもらう」というわけにはいかなくなりました。
近年、自動車のスペアキー(特にスマートキーやイモビライザーキー)の作成費用が高騰し、時間もかかります。
主な理由は以下の3点です。
1. イモビライザー(盗難防止システム)の暗号化
現代の車は、キーの金属部分の形が合うだけではエンジンがかかりません。
キーの内部に埋め込まれたICチップと、車載コンピューターの間で暗号化された固有のIDコードを照合しています。
この暗号が年々複雑化(電子的なセキュリティーの高度化)しているため、複製には専用の特殊なテスター(診断機)を使って、車両側のコンピューターに新しいキーのIDを書き込む高度なデータ書き換え作業が必要になります。
2. スマートキー自体の部品代の高騰
ドアの解錠・施錠だけでなく、ポケットに入れたままボタン一つでエンジンを始動できるスマートキーは、もはや「鍵」ではなく精密な電子機器(無線トランシーバー)です。
純正のスマートキーの部品単体だけでも数万円することが多く、これにメカニカルキー(物理キー)のカット代、さらに登録手数料が加算されるため、総額が非常に高くなってしまいます。
3. ディーラー手配による「納期」の発生
セキュリティーの観点から、一部のメーカーや車種(特に輸入車など)では、本国や国内の管理センターでしかキーの初期データを生成できない仕組みになっています。
そのため、ディーラーに発注してから手元に届くまで数週間から、車種によっては1ヶ月以上かかるケースも珍しくありません。
万が一「完全にすべての鍵を紛失した(マスターキーがない)」という状態になると、スペアを作るのではなく、車両側のコンピューター(ECU)ごと交換になったり、データのリセットが必要になったりするため、費用は数十万円コースに跳ね上がることがあります。
そのため、「まだ1本あるうちにスペアを作っておく」方が、結果的にコストも時間も抑えられるのが現状です。
最近は特定の外車や高年式車でも、ディーラーを介さずにその場でコンピューターを解析して即日スマートキーを作れる高度な機材を持った「自動車専門の鍵業者(鍵のレスキュー等)」も増えてきていますが、それでも費用はやはりそれなりに高額になります。
中古車を購入される際、意外と見落としがちなのが「スペアキーの有無」です。
正直なところ、車屋の本音としては「昔のように電装系がほとんどないシンプルな鍵の方が100%良かった…」と思う電化の時代。
今のスマートキーはただの鍵ではなく、高度なコンピューターを搭載した精密機器です。
そのため、いざスペアを作ろうとすると5万〜10万円という大金と、かなりの時間がかかってしまいます。
実は、私たちが車両を仕入れるオートオークションでは、スペアキーの有無を記載する義務がありません。
これが非常に厄介で、仕入れてみるまで鍵が何本あるか分からないのです。
現在の中古車相場は価格競争が激しく、仕入れ値と販売価格にほとんど差がないため、販売店側でこの5〜10万円の出費を吸収することはどうしても電算上不可能です。
そのため、大変心苦しいのですが、スペアキーの追加作成につきましては「購入者様ご自身でのご手配・ご負担」をお願いしております。
便利さを求めた結果のしわ寄せがオーナー様にいってしまうのは本当に心苦しいのですが、現代の自動車事情として、何卒ご理解いただけますと幸いです。
好きな車と、暮らそう。
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