Euro 7(ユーロ7)大幅緩和の真実

2026年7月21日

1. 結論
「排ガス強化」から「現実路線」への大幅撤退
当初、欧州委員会が発表した「Euro 7」は、これに応えるにはエンジン車の開発コストが膨大になりすぎ、ガソリン車が全滅すると言われるほど過酷な内容でした。
かし、2023年末から2024年にかけて採択された決定版では、業界からの猛反発を受けて乗用車の排ガス基準は現行(Euro 6)のまま据え置きという、実質的な大激変(骨抜き)が行われました。


2. なぜ Euro 7 は緩和されたのか?
主な理由は「2035年のEV化(新車CO2排出ゼロ目標)との二重投資問題」です。

・メーカー側の言い分
2035年には内燃機関(エンジン車)の新車販売が禁止される(※その後e-Fuel等で一部条件付き延命)。
それなのに、あと数年のために数千億円〜数兆円をかけてエンジンの排ガス浄化装置を新開発させるのは無駄すぎる。
その資金はすべてEV開発に回したい

・主要国の反対
ドイツ、イタリア、フランス、チェコなど、自動車産業を抱える主要国が「雇用と産業を守るため」に一斉に反対へ回りました。

結果として、EUも無理な規制で自国の自動車産業を潰すわけにはいかないと折れた形です。


3. 何が変わり、何が変わらなかったのか?
ここが一番気になるポイントです!

緩和されたこと(引っ込められた規制)
・乗用車・バンの排ガス数値
ガソリン車・ディーゼル車のNOx(窒素酸化物)やCO(一酸化炭素)などの排出上限値は、現行のEuro 6と同じ基準が維持されます。
・過酷すぎる走行テスト条件
「マイナス7℃や45℃の極端な気温でのテスト」や「超短距離のチョイ乗りテスト」など、メーカーを苦しめる予定だった測定条件も見直されました。
・施行時期の延期
当初の「2025年7月適用」から「法案成立から30ヶ月後(2026年後半〜2027年頃)」へと余裕が持たせられました。

残ったこと(世界初の新規制!)
排ガス規制は据え置かれましたが、Euro 7が骨抜きだけで終わったわけではありません。
エンジン以外から出る汚染物質に焦点が移りました。

1.ブレーキダスト(粉じん)の規制
ブレーキパッドから出る粉じん(マイクロプラスチック・金属粒子)の排出上限が世界で初めて設けられます。
EVは車体が重いため、実はブレーキやタイヤの粉じんが出やすいという課題があり、EVも含めた全車が対象になります。

2.タイヤ摩耗粉じんの規制
タイヤが削れて発生するマイクロプラスチックの量にも基準が作られます。

3.EVバッテリーの耐久性基準
「5年/10万km走行後も容量80%以上を維持すること」といったバッテリー寿命の最低基準が法制化されます。

4.OBM(車載監視システム)の義務化
長期間走っても排ガス性能が落ちていないかを、車載センサーで常時監視・記録する仕組みが求められます。


4. この緩和が意味すること
ブログの締めくくりとして、以下の切り口が読者の納得感に繋がります。

・ガソリン車・ハイブリッド車の延命
エンジン開発を完全に止める必要がなくなったため、欧州メーカー(VW、ベンツ、BMW等)は既存のエンジンやハイブリッド技術をブラッシュアップして売り続けることが可能になりました。

・低価格なコンパクトカーの存続
当初のEuro 7がそのまま通っていたら、排ガス浄化装置のコスト高で「ポロ」や「Yaris」のような小型車は採算が取れず消滅すると言われていました。
これが回避されたのはユーザーにとっても朗報です。

・ブレーキやタイヤの進化へ
今後は「ダストの出にくいブレーキローター/パッド」や「減りにくい高性能エコタイヤ」の開発合戦が激化します。


欧州の環境規制は理想論(厳格な全EV化・超厳格な排ガス規制)から現実論(産業保護・ハイブリッド見直し)へと完全に潮目が変わっています。
環境のためにエンジンを撲滅するというストーリーから、過渡期として内燃機関も賢く使いつつ、ブレーキ粉じんなど足回りの環境対策を進めるというフェーズに入ったということですね。

好きな車と、暮らそう。

AUTORIESEN
052-774-6151

サービス工場Blog
車検、点検、整備のあれこれを毎日更新!
熟練のメカニックの匠の技をご覧頂になれます