自動車節税スキームで高額EV半額で乗れるイギリス
イギリスの街中では、個人ではとても手が出ない£60,000〜£80,000(約1,200万〜1,600万円)クラスのBMW、Audi、Mercedes-Benz、Tesla、Polestarなどの高額EVが多く存在する理由は、Salary Sacrificeと呼ばれる給与天引きスキームが存在するからです。
Salary Sacrifice 節税の仕組み
高額EVに乗るハードルが大幅に下がる給与天引きスキームのポイントを3つにまとめました。
1. 個人:税金がかかる「前」の給与から引かれる
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仕組み: 給与から直接リース代が天引きされる。年収が高い人ほど約42%〜47%の高い税金(所得税+社会保険料)がかかるため、額面からリース代を引くことで課税対象額が減り、本来払うはずだった税金が大幅に浮く。
2. 個人:会社から車をもらっても「税金がほぼかからない」
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仕組み: 会社から車を借りると現物給与(Benefit-in-Kind)として別の税金が発生。通常のガソリン車だと最大37%の税金をとられますが、EVだけは優遇されてわずか3%〜4%。税負担がほぼゼロで済む。
3. 会社:タダで喜ばれる福利厚生になる
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仕組み: 従業員の「額面給与」が下がるため、会社が払う社会保険料や法人税も安くなる。企業は持ち出しゼロ、どころか節税になり、従業員にも喜ばれるのでこぞって導入。
つまり「税金として国に納めるはずだったお金(約4割)をそのまま車のリース代に充てられる仕組み」なので、個人は実質半額で高級EVに乗ることができることになるのです。
60,000£の高額EVを給与天引きスキームで乗ると…
£60,000(1,260万円)の高級EVを英国のSalary Sacrifice(給与天引きスキーム)で乗った場合のシミュレーションです。
年収£50,271(約1,050万円)以上の限界税率42%をモデルケースに、個人で普通にリースする場合とのコスト比較
月々の負担額比較シミュレーション
£60,000クラスのEV(Tesla Model 3 / BMW i4 / Audi Q4 e-tron等)を3年契約・フルメンテナンス付きでリースした場合の月額試算です。
| 項目 | 個人で普通にリース(PCH) | Salary Sacrifice(給与天引き) |
|---|---|---|
| 車両リース月額(額面) | £750 (約15.75万円) | £750 (約15.75万円) |
| 節税額(所得税40%+社会保険料2%) | £0 | – £315 (約 -6.6万円)
(42%節税)
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| 現物給与税(BIK税:4%の40%課税) | £0 | + £80 (約 +0.63万円) |
| 任意保険・車検・整備代 | 別途 £150〜200 /月 | £0
(リース料に全額コミコミ)
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| 実質月々支払い額 |
約 £900〜950 /月
(約 18.9万〜20.0万円)
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約 £515 /月
(約 10.8万円)
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Salary Sacrificeのリース契約には任意保険、MOT(車検)・定期点検費用、消耗品(高価なEV用タイヤ交換も)、ロードサービスがすべてコミコミで含まれるのが一般的。
本来、年収£50,271(約1,050万円)程度の層であれば、手取りや生活費とのバランスから考えて£30,000〜£40,000(約630万〜840万円)クラスの車(フォルクスワーゲン・ゴルフやミニ、トヨタのHVなど)を選ぶのが適正な金銭感覚。しかし、Salary Sacrificeの節税のバグによって、上位クラスの高級EVが1〜2クラス下のガソリン車と同等以下の手取り負担で乗れてしまうため、高額EVへの背伸び購入を爆発的に加速させました。
節税の副作用で歪む市場
この制度、使わないと損というレベルだと認知された結果、爆発的に活用されることになりました。
「EVの新車販売を増やす」
「法人フリートを電動化する」
と言う意味では上手くいきました。しかし、政府が最も読み違えた可能性があるのが出口です。
2020〜2022年に大量導入された車両が3〜4年のリース期間を終え、数万台規模で中古市場へ流れ込んできました。安価な中国製EVの台頭やテスラの度重なる新車値下げによって、中古EV相場が崩壊。想定残価を大幅に下回ってしまったので、リース会社は1台返却されるごとに大きな損失を計上する事態に。
そして一般消費者が利用する中古市場には、フルメンテナンスされた法人ワンオーナーの極上高級EVやPHEVが、同クラスのガソリン車よりも安いプライスで展示されます。安いからと言って新車価格が高額な中古EVに安易に手を出すのは高額な維持費というリスクが潜んでいる可能性があります。また、Salary Sacrifice(給料天引きスキーム)制度を使わず、普通にこれらの新車を購入する人ほど、資産価値の下落リスクをまともに受けることになります。
この制度はいつまでも続きません。段階的に縮小さ、将来的には終了します。その時、新車・中古車市場で何が起こるのか…。
好きな車と、暮らそう。
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