席下から現れる「引き出し式トイレ」、Seresが描く車内空間の新発想
中国の自動車メーカーが、画期的な自動車の装備を開発し、特許を取得して話題になっています。
Seres(セレス)とはどんな会社か?
Seres(赛力斯)は1986年に設立された重慶小康工業集団(Sokon Group)という、部品や商用車(ミニバンやトラック)を作る地味なメーカーでした。
2022年に、EVシフトを鮮明にするため、現在のSeres Groupへと社名を変更しました。
Seresが有名になったのは、Huaweiと共同でEVの新ブランドAITOの立ち上げです。
AITOは2025年には年間販売台数が42万6000台と絶好調。特に大型SUVのAITO M9は、メルセデス・ベンツやBMWの同クラスを脅かす存在となりました。
「引き出し式」の隠しトイレ
Seresが取得した興味深い特許とは、座席の下に収納されているトイレを使用時だけスライドして出すことができる、というものです。音声コマンド「トイレを出して」のように伝えればトイレが出てくる機能もあるのだとか。
この特許、もう少し具体的に説明すると、以下の3点を統合した構造で特許取得しています。
1. 空間活用のためのスライドレール機構
この特許の中核となるのはキャンピングカーのように、トイレを設置するスペースを必要としない、座席下のデッドスペースを「引き出し式トイレ」として利用する構造です。トイレ本体の上部に固定されたシートレールと、シート側に設置されたガイドレールの組み合わせ。
2. 加熱蒸発・乾燥による廃棄物処理
車内に汚物を溜め込まないようタンク内に設置された回転式加熱エレメントで尿などの液体を加熱して蒸発させ、固形物を乾燥させることが可能。廃棄物の容積を劇的に減らす仕組みで、キャンピングカーのように大きな汚水タンク(ブラックタンク)を搭載する必要がありません。キャンピングカーにもし尿を焼く機能は以前からありましたが、Seresは座席下にスライド機構として収め、車体側のダクトと連結させる物理的な構造を権利化したのだと思います。
3. 「強制排気・脱臭」システム
密閉み近い空間内で最も致命的な臭いの問題に対する対策も特許に含まれているようです。専用のファンと、車外へ直接つながる排気ダクトのレイアウト。未使用時に臭いが漏れないための密閉技術もも特許の範囲に含まれているようです。
この特許の目的
今回のSeresによる車載トイレの特許取得は、実際に製品化される可能性は低く、業界でいう防御特許の可能性が高いようです。
つまり、将来的に競合他社が同じような車内トイレを製品化した際、「それは我が社の特許権侵害だ!」と主張できる権利を確保することにあります。実際に搭載するかどうかは二の次で、他社の参入障壁を築くための知財の陣取り合戦です。
終わりに
防衛特許は一般的には注目されないような内容のものが多いのです。しかし、今回のSeresの特許が注目されたのは、いくらハイテク化が進んでも避けて通れない人間の生理現象を解決する手段だったからです。
大渋滞に巻き込まれた際の人間の生理現象は、誰もが分かっているリスクでありながら不都合な事実として大きな声が上がり難い状況でした。その領域にSeresが特許取得で切り込んたことで注目を浴びたのだと思います。
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