Dチェーン脱却を目指すBYD
以前ブログに書いたBYDの決済システム「Dチェーン(迪鏈)」。BYDの下請け企業は、圧倒的に不利な条件での支払い条件を受け入れなければならない、悪夢のような決済システムです。
このDチェーンのせいで、末端のサプライチェーンやディーラーの資金が尽きて、市場から退場したケースも少なくないようです。
BYDのDチェーン脱却が意味するもの
そんなBYDですが、いよいよこのDチェーンから銀行を通じた一般的な決済手段へと、段階的に移行を迫られていると言われています。
当然、Dチェーンを廃止するとなれば、これまで引き延ばしていた支払いサイトが短縮されます。これまでの未払い分を一気に清算しなければならなくなるため、手元の現金は減ります。不足分を補うために借入金が増え、営業キャッシュフローも一時的に強く圧迫されることになるでしょう。
ただし「Dチェーン脱却でBYDの経営が傾く」という話ではなく、これまで下請けのサプライヤーに無理やり負担させていた運転資金をBYD自身のバランスシートに戻すってだけの話。これ、どこの企業でもやっているゴク当たり前のことなんですよね。
なぜこのタイミングでDチェーン脱却をするのか?
なぜBYDはこのタイミングでDチェーンを脱却しようとしているのでしょうか?心を入れ替えて「下請け企業を守ってやろう」としたのではなく、別の理由があるようです。
- 中国政府からの強い圧力
中国政府は、BYDのDチェーンの存在を以前から間違いなく知ってたはずです。中国は国家戦略でEV[産業を成長させることを最優先に考えていたので、あえて黙認してきたのでしょう。BYDが良い感じに成長したので、「そろそろ圧力をかけるか」って感じになったのだと思います。 - 欧州展開を見据えたガバナンスの強化
もう1つの理由は海外進出。特に欧州は労働者の権利やサプライヤーとの取引の公平性等を企業評価の重要な要素と考えています。Dチェーンのような強い立場を悪用した取引慣行は、欧州から厳しく見られる恐れがあります。
DチェーンはBYDを成長させた魔法の杖のような決済システムでしたが、いよいよその杖を手放す時が来ました。完全に手放した時に真の競争力が試されます。
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