アメリカでバックカメラのリコールが急増した理由

2026年1月10日

近年アメリカで、バックカメラ(リアビューカメラ)のリコールが多発しています。

以下の表は、最近のアメリカ国内で発生したバックカメラのリコールに関するデータ。

メーカー / ブランド 対象台数 (約) 発表時期
フォード 420万台 2025年累計
└ 5月 110万台 2025年5月
└ 7月 20万台 2025年7月
└ 9月 145万台 2025年9月
└ 10月 145万台 2025年10月
ホンダ 131万台 2023-24年
ステランティス 125万台 2024-25年
トヨタ / レクサス 100万台 2025年11月
VW / アウディ / ポルシェ 53万台 2026年1月
ボルボ 41万台 2026年1月
HYUNDAI 14万台 2025年11月

特にフォードにとって2025年は「リコールの年」でしたね。


なぜバックカメラのリコールが急増したのか?

アメリカでバックカメラのリコールが急増した理由は

  1. 新車へのバックカメラ装着義務化
    2018年5月以降、連邦自動車安全基準:FMVSS No.111により新車へのバックカメラ装着が義務化されました。今売れている車はほぼ全車がカメラ付きになりました。カメラモジュール内部の防水・封止劣化、トランクやリアハッチ開閉繰り返しによりケーブルの疲労、ソフトウェアアップデートとのミスマッチ等が発生したと言われています。
  2. バックカメラの厳格な安全基準
    アメリカの安全基準、FMVSS No.111の安全基準がとても厳格です。具体的な合格基準は以下です。

    基準項目 合格基準 テスト方法・詳細 リコールの主な原因・影響
    1. 応答時間 最大 2.0秒以内 ギアをRに入れてから映像表示までの時間が2.0秒以内でなければならない。 【最多要因】 システム(OS)の起動遅延。わずか0.1秒の超過でも法規違反となる。
    2. 視野角 10ft × 20ft (約3m × 6.1m) 車両後方の規定範囲が死角なく完全に画面に映ること。 カメラの取付角度のズレ、レンズの歪み補正ソフトのバグによる端の欠損。
    3. 画像サイズ 一定の視覚角度を維持 運転席から見て、画面内の物体が一定以上の大きさで認識できること。 360度カメラ等の「分割表示」により、後方映像が小さくなりすぎるソフト不具合。
    4. 耐久性・環境 全環境下での性能維持 高温・低温・湿度・振動などの過酷な条件下でも上記1〜3を満たすこと。 防水シールの劣化による浸水、寒冷時の基板エラーやシステム起動の低速化。

    リコールとして最も多いのが、ギアをRに入れて2.0秒以内にモニターにリアビューが表示されないことです。納車したばかりのころは2.0秒以内であっても、OSのアップデート後に僅かに遅延が発生し、2.1秒になっただけでアウト。PCやスマートフォンを使っていると、たまに動作が遅くなったり、たまにフリーズしてしまうことがありますよね?アメリカの法規上、自動車のバックカメラでこれが発生することは致命的な安全欠陥とみなされます。気温マイナス30度になるアラスカであっても2.0秒以内でなければならないのです。

  3. NHTSAの恐ろしい罰金
    2024年にNHTSA(米国道路交通安全局)が、フォードに対し「2020年に発見されたバックカメラの不具合を適時リコール実施しなかった」として、1億6500万ドル(日本円で約255億円)の民事罰を科しました。自動車メーカーはモニターのリアビュー表示が「0.1秒遅延しているかも?」という兆候を掴んだ時点で、即座に自己申告してリコールを開始しないと、後で「知っていたのに放置した」と断罪され、巨額の罰金を支払わなければならなくなります。

これだから車が高くなる

自動車メーカーは、シフトをRに入れて2.0秒以内にモニターにリアビューを表示させなければなりません。しかも、この責任は無限責任ではないにしても、最低でも10年~15年位は2.0秒を死守する責任が自動車メーカーについてまわるのです。かなりの労力とコストをかけなければなりません。そのコストは消費者が支払うことになります。


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