EU、中国車のトルコ生産による関税回避を封じ込める?
去年の7月のニュース。
中国の自動車メーカーのBYDが、トルコに工場を建設して自動車を生産し、それを欧州市場に輸出する
BYDがトルコで自動車工場を建設する主な理由は、EUの追加関税を回避するためです。トルコはEUと関税同盟を結んでいるので、トルコで生産された車両はEU加盟国への輸出時に原則として関税がかからなくなるのです。
話の雲行きが怪しくなる中国メーカーのトルコ生産
しかし、中国EVを自動車産業に対する深刻な脅威と見なしているEUは、トルコを利用した関税回避スキームを封じ込める可能性が浮上、中国自動車メーカーのトルコ進出にブレーキがかかりました。EUはトルコ政府に対し、関税同盟の維持に関わる圧力をかけたと見られます。
トルコ進出ムードが高まっていた中国の自動車メーカーですが、以下のように棚上げされた状態です。
| 企業名 | 工場建設の状況 | 状態 |
| BYD | 10億ドルのマニサ工場計画があるが、「釘一本も打たれていない」状況。 | 計画・待機段階 |
| Chery | 10億ドルのサムスン県の工場計画があるが、公式な署名も現場の動きもない。 | 計画・待機段階 |
| GAC | 計画を保留し、オーストリアでの生産開始を選択した。 | 計画中断・凍結段階 |
EUにありがちな後からルール変更
不利な状況に追い込まれると後からルールを変更することが多いEUですが、今回もその典型的なパターンだと言えます。安易にルールを変えることは、トルコとの関係悪化にも繋がりますので、EUとしては使いたくないカードだと思いますが、重要な自動車産業にこれ以上傷を付けられないと判断したのだと思います。
トルコルートを封印しても別ルートがある
EUがトルコ経由の封印を検討していますが、GACはオーストリアでの生産を開始し、BYDはハンガリーに生産工場を建築していて、来年の春~夏頃に生産が始まるそうです。さすがにEUはEU加盟国内で生産した車両に関税をかけることはできません。
関税はかけられないがトルコで生産されるよりマシな理由
EU加盟国内での中国自動車メーカーの自動車生産には関税がかけられませんが、それでもトルコで生産されるよりかなりマシです。
その理由は
- トルコ経由の輸入はEUがコントロールできない中国EVの流入になる
トルコはEU関税同盟にあるがEU加盟国ではありません。EU加盟国内で生産される場合、その製品はEUのすべての法規制、労働基準、環境基準に完全に準拠することが義務付けられます。EUが最も懸念しているのがこれかもしれませんね。また、EU内なら補助金や優遇措置を提供する際も、EUのルールの監視下に置かれますので、EU域内での競争が歪められることを防ぐことができます。 - なんちゃってトルコ生産を防ぐ
トルコの場合、主要部品のほとんどが中国で製造されて、組み立ての最終工程だけをトルコで行う、なんちゃってトルコ生産されてもEUがそれを監視することが困難です。 - EU域内生産ならサプライチェーンをEUに引き込める
中国の自動車メーカーであっても、EU加盟国で自動車を生産すれば、中国企業はコスト削減や物流の効率化のために、現地の部品サプライヤーとの取引を増やすので、EU域内のサプライチェーンが強化されます。
だからといって、EUは安心と言うわけには行きません。今後、中国メーカーは非常に厳しい価格競争を仕掛けてきます。欧州では新車価格が高くなり、一般人には手が届きにくくなっています。恐らく中国企業はそれを絶好のチャンスだと考えているはずです。
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