2026年、中国EVメーカーに訪れる試練

2026年1月11日

中国は短期間で雨後の竹の子のようにEVメーカーが乱立しました。中国政府がエンジン車では日本や欧米に勝てないと判断し、15~16年位前から新エネルギー車への巨額投資を行い、地方政府による誘致競争が起こりました。新興メーカーに対して工場用地の無償・格安提供したり、低利融資や直接出資も行いってきました。また、惜しみなく補助金を出すことで短期参入を加速させ、その結果EVメーカーが爆増。

参入障壁が劇的に下がり「この波に乗らない手はない」と、IT企業、家電メーカー、不動産業界、バッテリーメーカー等の畑違いの業種からもどんどんEV産業への参入が進みました。


参入障壁は低いが熾烈な生存競争

一般的な考えとして、1つの業界に多数の企業が乱立することは弊害が多く、無駄な消耗戦を促すので望ましい戦略とは言えません。

しかし、中国政府は乱立させることで競争を促し、その結果「勝ち組」と「負け組」とを明確にし、負け組企業が淘汰されることで自動車産業を極短期間で成長させました。

負け組の属していた人たちにとっては厳しい現実が待ち受けていますが、中国政府は個人よりも産業の成長構造を重視する考え方を取っています。社会主義的な計画超資本主義的とも言える競争原理を融合させた政策ですね。恩恵と苦痛が表裏一体となった、個々の国民にとってはかなり過酷なシステムじゃないでしょうか。


中国EVメーカーに訪れる試練

2026年は中国のEVメーカーにとって厳しい年になるとの予想が出ています。

  1. 国内需要の停滞
    EV優遇政策や補助金で買い替え需要を促進。需要の先食いのつけ。
  2. 政府補助金縮小
    地方政府の財政悪化により補助金の縮小や停止され、特に低価格EVを購入するユーザー層が買い替えを断念。
  3. 欧州のEV一辺倒見直し
    EUはEVの大きな市場。中国自動車メーカーの魅力的な輸出先だったが、ガソリン車禁止方針を緩和。

また、中国では大量のEVの新車在庫が積み上がっていて、それが2026年の市場を混乱させる要因になるとも言われています。在庫が積み上がる中、どんどん新型モデルが投入されます。在庫車は大幅値引きしないと売れにくくなります。

中国国内で採算が取れなくなった在庫車両は海外市場に輸出され、世界の自動車市場に悪影響を及ぼす恐れがあります。所謂「デフレの輸出」ってやつです。


勝ち組メーカー4社

そんな厳しい状況でも、勝ち組として生き残るメーカーは足元を強化して、さらに力をつけてくるるでしょう。

具体的には以下の4メーカーは現時点で明確な勝ち組と言えます。

  1. BYD
    EVのイメージが強いBYDですが、中国のPHEVの絶対王者的存在です。1.0から始まったDM(Dual Mode)シリーズと呼ばれるPHEVは、今はDM 5.0まで進化。満充電・燃料満タンで2,000km以上の航続距離を実現しています。
  2. Geely(吉利汽車)
    GeelyはLeishen EM-i(雷神)と呼ばれる高性能なPHEVシステムがあります。Leishen EM-iは大衆車向けのPHEVシステムですが、GeelyグループのZeekrやLink & Coには、Leishen EM-iをより強化した上位システムを搭載。GeelyはPHEVでBYDを追従していて、一部技術ではBYDを追い抜いたと言われています。2025年に輸出台数で過去最高を更新し、外貨を稼ぐ力が中国トップクラス。
  3. Chery(奇瑞汽車)
    CheryはKunpengと呼ばれるPHEVは、熱効率が46%~48%とても高く、他の中国メーカーと比べてエンジン性能を重視しています。エンジンとしての性能が高いので、充電インフラが未整備な新興国でも使えるPHEV。
  4. GWM(長城汽車 Great Wall Motor)
    GWMはオフロード性能に特化したPHEVを得意とするメーカー。Hi4-Tと呼ばれる縦置き並列ハイブリッド構造で、強力なトルクを9速ハイブリッドATで緻密に制御。さらに進化した最新のHi4-Zにも注目が集まっています。Hi4-Zは都市型オフロードという新しいトレンドを狙っています。派手な勝者を狙うのではなく、オフロード特化というニッチな市場でシェアを獲得しています。

他にも、Xiaomi、SAIC、Leapmotor、HuaweiとSeresが共同展開しているAITO、Xpeng、Li Autoも勝ち組だと思いますが、もう少しリングに立ち続けてみないと今後どうなるのか分かりません。

4~5年前まではかなり優等生で、中国EV新興勢の中で最も完成度の高いメーカーだったNIO(上海蔚来汽車)は、最近失速気味。NIOは2021年初頭には株価が60ドルを超え、時価総額は約1,000億ドル規模(当時のレートで約10兆円超)に迫り、テスラに次ぐEV界の超新星と評されていました。そんなNIOですら厳しい競争の中で相対的に評価を落とし、生き残りをかけたフェーズに入っています生き残ろうと必死になっている状況。このことから、中国の自動車メーカー間で本当に厳しい戦いが繰り広げられていることが分かります。


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