0-100km/h 3秒台のファミリーカー時代に規制の波
中国政府は、自動車の不必要なスペック合戦を規制しようとしています。規制しようとしているのは、加速性能です。中国ではEVの性能競争が極端なレベルに達しており、安全面から出力制限の義務化を検討しているようです。その背景には、中国では都市部の急加速事故が増加し、EVの過剰性能が社会問題になりつつあるからです。
0-100km/h加速タイム5秒以下は不要?
最近の中国EVの加速タイム競争は度が過ぎていて、0-100km/h加速タイムが5秒を切る車両が増えています。Xiaomi XU7 Ultraに至っては1.98秒です。
Xiaomi XU7 Ultraの1.98秒は、フラッグシップモデルでサーキット走行や特定のパフォーマンスを楽しむために存在する車種です。恐ろしいのは、普通の人たちが乗るであろうファミリーカーの0-100km/h加速タイムが当たり前のように3秒台後半~4秒台であることです。もちろん高性能EVが悪いわけではありません。問題は、それが一般用途で無条件に開放されている点です。
スーパーカー並の加速性能を持つファミリーカー
最近の中国ファミリーカーが持つ0-100km/h加速タイム3秒台後半~4秒台の加速は、一昔前のスーパーカーに匹敵するか、それ以上の加速です。そんな暴力的加速の車両にスポーツ走行に慣れていない人や、運転免許とりたての若者が乗ったら危険。
ただでさえ車両重量が重いEVが暴走するとその破壊力は指数関数的に増すので、一度ヒューマンエラーが起ころうものなら大惨事に繋がります。
| 項目 | スーパーカー (例: フェラーリ、ランボルギーニ) | 高性能EVファミリーカー |
|---|---|---|
| 車両重量 | 軽い (1,500kg前後) | 重い (バッテリー搭載により2,000kg前後、またはそれ以上) |
| ブレーキ性能 | 極めて高い。 加速に見合った専用の強力な制動システムを搭載。 | 一般的な高性能車レベル。重い車体に対してはスーパーカーの専用設計に及ばない。 |
| ハンドリング性能 | 極めて高い。 サーキット前提の低重心、専用シャシー設計。 | 高い。しかし、重い車体と高い重心により、限界域での応答性は劣る。 |
| 設計思想 | 速く走り、安全に止まり、曲がること | 速く走ることに重点が置かれ、加速性能がシャシー性能を上回る傾向がある。 |
| 運転者の意識 | 覚悟と高い運転技術、危険への意識が前提 | 気軽に運転する意識。運転技術が未熟な層にも高性能が開放されている。 |
| 暴走時の破壊力 | 高速時の運動エネルギーは高いが、軽量なため低速衝突時の質量は小さい。 | 極めて高い。 重い質量が短時間で高加速するため、ヒューマンエラーが起きた際の運動エネルギーが非常に大きく、大惨事につながりやすい。 |
なぜ自動車メーカーは加速性能を追求する?
発火しにくいバッテリー技術の進歩とは裏腹に、高速でクラッシュした場合の炎上リスクは依然として高いままです。それでも自動車メーカーが普段使用しない不必要な加速性能を追い求めるのはなぜでしょうか?その答えは、技術優位性の誇示と、マーケティング戦略です。
ハンドリングの良さや耐久性と違い、加速性能は数値化できます。自動車メーカーがスペック合戦に陥るのは、スペックなら消費者に性能をアピールしやすいからです。このスペック合戦は、数値で車を評価しがちな消費者にも責任があるのかもしれません。
禁止ではなく制限
中国政府は現段階では、完全に出力を制限するのではなく、モード切り替えによる出力制限を検討しているそうです。
具体的には、デフォルトの標準モードでは暴力的加速ができないよう制御された状態。標準モードは、0–100 km/hが5秒切ることはない(5秒でも十分速いが…)。思い切り加速したい時は、ドライバーが明示的にスポーツモード、ハイパフォーマンスモードに切り替える。
技術の進歩によって、スーパーカーのような加速を一般人が手に入れられるようになりました。しかし、皮肉にもそれが安全規制の強化を招く、という構図になってしまいました。とは言え、中国はEVの販売競争力を落とすわけに行きませんから、自国の武器でもあるスペックを完全に抑えるのではなく、モード切り替えという手法でスペック表の見栄えを損なうこと無く安全性を確保しようとしています。
好きな車と、暮らそう。
052-774-6151
auto@riesen.co.jp
サービス工場Blog
車検、点検、整備のあれこれを毎日更新!
熟練のメカニックの匠の技をご覧になれます。






