フランスでロードサービス救助要請件数が増えている理由
仏のロードサービス業界の主要9社が加盟しているUnion des Assisteursの情報によりますと、フランスでは近年ロードサービスの救助要請数が増えているそうです。
2023年は前年対比で4%救助要請数が増え、2024年も前年対比4%増加しています。
フランスの2024年のロードサービス救助要請数は約813万件もあったそうです。これを日本の人口比率で換算すると、約1500万件になりますので、かなり多いと言えます。
ロードサービスの救助要請の主な原因は
・バッテリー上がり:30%
・エンジントラブル:29%
・タイヤのパンク:13%
・クラッチやギアボックスのトラブル:12%
フランスの救助要請件数が増加している理由は複数あります。
- 古い車の増加
フランス国内の車両の平均使用年数は
2011年:9年
2017年:10.1年
2024年:11.2年
人間も高齢になるほど病気のリスクが高くなりますが、それは車も同じ。 - 車両台数の増加
フランス国内の車両保有台数が増加してるので、分母が増えれば分子も増えます。しかし、新車価格が高騰し、中古車市場が活性化しているので、古い車も増えているのでしょう。 - スペアタイヤレス
近年スペアタイヤレスの車が増えています。一昔前はパンクしても救助要請せず自分で解決していましたが、それができなくなっているということです。 - 極端な気候
フランスでも気温が40度近くまで上昇することがあります。日本車は気温の変化や湿度にも強いのですが、フランスの古い車はそれに対応できていないのかもしれません。 - eCall(車載緊急通報システム)の義務化
2018年4月以降の型式認証された新車全てにeCallと呼ばれる車載緊急通報システム搭載が義務化されました。eCallは本来事故等の衝撃やエアバッグの展開を検知して自動で通報するシステムです。ただ、eCallボタンを押せば、GPSで車両の位置情報が送信され、ロードサービスに手動でSOSを出すこともできます。「困ったことがあればeCallのボタンを押せば良い」という認識が広まり、これまでなら自力で何とかしようとした人も、気軽にeCallボタンを押してロードサービスを要請するケースが増えているようです。しかし、eCallは本来緊急性の高いトラブルのときに使用するものですが、実際に緊急出動が必要だったケースはわずか5%未満でした。 - 人手不足
整備業界の日本だけのことかと思っていましたが、共通の課題のようです。フランスでも若い世代が整備士を目指さない傾向にあります。熟練労働者の不足に加え、電子制御が主流になってから修理の難易度も高くなっています。
特に、フランスは夏のバカンスシーズにロードサービスの要請が増えます。長距離運転や暑い季節なので車の故障率も高くなるので、バカンス前後は点検や修理の依頼が増加。予約が取りにくくなり、メンテナンスできないまま乗らなければならない人が増えてしまいます。
ロードサービス要請の30%がバッテリー上がりですが、最近の車はバッテリーのサイズも大きくなり、とても重い上に、バックアップを取りながら交換しないと不具合が発生します。具体的にはECUの学習データがリセットされ予期せぬ不具合が発生したり、パワーウィンドウのオート機能が初期化されたりします。
フランスにも日本の車検に近い制度があります。しかし、日本のような予防整備的な要素は少ないので、かかるコストは安価ですが、その分検査内容は甘いです。結果として、車が古くなるにつれて故障が頻発しやすくなります。
フランスの事例を見てもわかる通り、自動車の点検・整備は大切だと思います。特に古い車ほど。
好きな車と、暮らそう。
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