関税回避目的で安易に米に新工場建築はできない理由
2025年4月6日
しばらくニュース番組やワイドショー等では、米関税に関する話題で持ちきりになりそうですね。
特に自動車はその影響が大きいからか、世界中の自動車ニュースでもこの話題をトップニュース扱いにしているところが多いです。
各自動車メーカーの反応も様々
- ジャガー・ランドローバーは、一時米国出荷停止
- ステランティスが米工場で900人レイオフ
- 日産は、国内生産を米国に一部移管で追加関税で輸出回避
- インフィニティは米国向けQX50、QX55の出荷を一時停止
- ヒュンダイとジェネシスは、関税による価格上昇分を吸収するプログラムを6月2日まで実施予定。因みにヒュンダイは先月、200億ドル規模の投資しを発表、その一部でルイジアナ州に鉄鋼プラント建設し、自動車生産工場の拡張すると思われます。
今のところニュースで得られる内容はここまでですが、今後間もなく他の自動車メーカーの情報も出てくると思います。
現時点では思ったより
「アメリカに新工場を建設して関税を回避する」
と発表する自動車メーカーが少ないようですが、それにはいくつか理由があります。
- 莫大なコストがかかるから
ヒュンダイは200億ドル規模(現在のレートで日本円で3兆円弱)の投資をするみたですが、よほど体力があるか、将来への強い見込みを確信していなければできることではありません。 - 建設したとしても、部品には関税がかかる
条件を満たしている製品であれば関税の免除や軽減の恩恵を受けられる制度が存在します。その制度とは”USMCA”と呼ばれる、アメリカ、メキシコ、カナダの3か国間で締結された自由貿易協定です。しかし、鉄鋼・アルミニウム、そして自動車・自動車部品に対しては、USMCAのルールを満たす製品であっても関税が免除されない可能性が高いのです。つまり一昨日のブログで書いたような部品に関税が積み重なることになってしまいます。 - 関税政策がいつまで続くか不透明
もしかしたらこれが一番の理由かもしれません。今後いつまでもこの政策が続くのであれば、巨大な市場である米国に注力するはずです。しかしトランプ政権の関税政策が交渉の道具として使われている可能性もあり、もしこの関税政策が短期的に終わった場合、新工場建設に投資した分が無駄になる恐れがあります。建設中に政策がコロッと変わるリスクもあるので、各国の自動車メーカーは慎重になります。
今回の新たな関税による余分なコスト負担は、ただでさえEVシフトに巨額投資をしたり、新型コロナの影響による半導体不足の混乱を乗り越えたばかりの自動車業界にとって、まさに「泣きっ面に蜂」と言える状況です。
好きな車と、暮らそう。
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