VW、クリスマスの奇跡でドイツ国内工場閉鎖回避
今年の9月にVWがドイツ国内工場閉鎖を検討する、というニュースにかなり驚きました。
昨日、工場閉鎖はとりあえず回避することが決まりました。この決定は、VWと労働組合が、VWの歴史史上最も長い70時間の交渉を経て合意が成立しました。今回の交渉には約10万人の従業員が参加してストライキを実施、その規模もVWの歴史上最大規模になりました。
労働組合側はIG Metallという金属産業労働組合が中心となって交渉を行いました。このIG Metallは非常に強力な労働組合組織で、製造業に従事する労働者の多くがIG Metallに加入しています。IG Metallに加入していれば、合理的な理由がない限り雇い主は解雇することができません。賃金交渉も有利になります。
日本の労働組合は企業別で組織が形成されていますが、IG Metallは産業別で形成されています。日本ではあまりストライキは起こりませんが、ドイツはIG Metallが強力な交渉力を持っているので、ストライキが起こりやすくなります。
今回の交渉はとてもハードで、ハノーバー郊外の簡素なビジネスホテルで、コーヒーでカフェインを摂取しながら幾度となく深夜まで行われたそうです。
労働組合側はこの工場閉鎖回避を「クリスマスの奇跡」と称して歓迎しているそうです。
『クリスマスの奇跡』と歓迎する声もありますが、決して手放しで喜べる状況ではありません。とりあえず当面の工場閉鎖と大規模レイオフは回避され、VW側が要求していた10%の賃金カットも撤回されました。しかし、工場閉鎖を完全に回避して今後も安心だ、と言うわけではありません。
今回の合意によって、以下のような条件が提示されています
・2030年までに35,000人の人員削減
・ボーナスや休日手当等の一定期間削減または廃止
・今後4年間の賃上げ無し
・即時工場閉鎖は回避するも、ドレスデン工場は生産停止の可能性が残る
・中期的に日本円で2兆円弱のコスト削減
今回の合意は双方が受け入れ可能なギリギリのライン。あくまで妥協案なので、VWにとって多くの課題が残っている状況です。今後中国の自動車メーカーとの競争が激化すると、さらに調整が必要になる可能性があります。
このVWの騒動はまだ始まりに過ぎず、これから歴史ある自動車メーカーが同じような状況に陥る可能性があります。
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