ジムニー5ドアの輸入販売が難しい理由

2024年3月1日

このニュースの影響からか、ジムニー5ドア買えますか?と問い合わせが来ます。

買えるの?
買えないの?
どっちなの?

と聞かれたら、登録できないので

「無理です」

と答えることになります。

登録できない理由は、日本の安全性や環境性能などに適合しているかを証明することが極めて困難だからです。

その審査は
NALTEC 独立行政法人 自動車技術総合機構
が行いますが、EU、北米以外の輸入車両はたいていここで挫折します。

安全性や環境性能などの適合がどんな内容なのかを説明するもの大変なので(と言うか私にはとてもできない)、知りた人は 並行輸入自動車審査要領をご覧ください。

この並行輸入自動車審査要領の一部だけ抜粋してもその難易度の高さが分かります

並行輸入自動車審査要領の29ページの第15条、7-23燃料装置のところ。

これは、車が衝突した時に燃料漏れが無いことや車両火災を防止に関する内容が書かれています。

今主流の乗用車用プラスチック製燃料タンクの技術基準を証明するには

① COC ペーパー
② WVTA ラベル又はプレートを撮影した写真+車両型式認可を受けた時点のカテゴリが確認できる資料
③ UN R34 に基づく認定証
④ UN R34 に基づくⒺマークを撮影した写真
⑤ EU 加盟国の自動車検査証等

のいずれかがあれば良いのですが、逆に①~⑤の1つも無い場合は

⑥ 細目告示別添 17「衝突時等における燃料漏れ防止の技術基準」の試験に適合しており、かつ、自動車製作者が装着したものであることが確認できる資料

「だったら⑥で証明しましょう!」

と安易に思うべからず。

別添17 衝突時等における燃料漏れ防止の技術基準にこう書かれています。

試験方法
試験自動車を50±2km/hの速度で、バリヤ前面に垂直に正面衝突させる。ただし、試験がこれよりも高速度で実施された自動車が要件に適合した場合、当該自動車は要件に適合しているものとする。この場合に、衝突時の車両中心面とバリヤの中心面との間隔は、300mm以下であること。また、衝突後、できるだけ速やかに各部より車外に流出又は滴下する燃料の量を、5分間測定する。圧縮水素ガスを燃料とする自動車においては、ガス容器内又はガス容器下流の最初の減圧弁上流において、ガスの圧力及び温度を、衝突を実施する直前と衝突60分後に測定する。

そうです、車を潰さないといけないのです。

なので、弊社がインドから5ドアのジムニーを輸入したとしても、登録ができないのです。因みに欧州や北米以外の国で ①のCOC ペーパーを手に入れるのは極めて困難。多少のコネがある程度では手に入りません。

ではこのニュースの5ドアのジムニーは、どうやって登録するのでしょうか?
これは私にも分かりませんし、とても知りたいところですが、恐らく

1.自力で様々な試験を受けて登録する
2.インドのスズキに強烈なコネがあって、各証明まとめた書類か、あるいは個別で証明した書類を入手できる

のいずれかだと思います。

自力で証明するとしたら、車両本体価格は恐ろしい金額になり、時間もかなりかかるはずです。

という訳で、弊社ではインドから5ドアのジムニーを輸入・販売することはできません。

好きな車と、暮らそう。

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