VW、最大10万人規模の人員削減を検討

2026年6月29日

フォルクスワーゲンがドイツ国内の4工場の閉鎖と、最大10万人規模の人員削減を検討していることニュースで報じられました。

最大10万人規模となると、自動車業界では過去最大規模の人員削減になります。もしころが本当に行われたらかなり大変なことになります。

記憶に残る自動車業界の大規模人員削減

自動車業界は結構な頻度で人員削減が行われてきましたが、特に大規模だった例は以下になります。

  • ゼネラルモーターズ(GM)/ 1991年12月

    • 削減規模: 74,000人(および21工場の閉鎖)

    • 背景: 日本の自動車メーカーとの競争激化や需要低迷により、巨額の赤字に苦しんでいた時期の対策。日米貿易摩擦で凄まじいバッシングがあり、日本車をボコボコに叩き壊すパフォーマンスが行われたアレです。

  • ゼネラルモーターズ(GM)/ 2006年〜2009年

    • 削減規模: 60,500人

    • 背景: 何年も前から抱えていた社内の高コスト体質(年金や医療費という持病)が限界に達しました。工場勤務の従業員の約半数を削減。さらにデスクワーク(ホワイトカラー)部門でも20%の削減を計画した大規模なスリム化。

  • ゼネラルモーターズ(GM)/ 2009年2月

    • 削減規模: 47,000人

    • 背景: 社内の高コスト体質にリーマン・ショックが追い打ちをかけました。経営破綻寸前の中、会社を存続させるために「サターン」「ハマー」「ポンティアック」などの名門ブランドの整理・売却。政府や納税者から300億ドルの資金援助を求める、いわば命乞いの構造改革の一環として大規模人員削減を発表。

  • 日産自動車 / 2019年〜2020年

    • 削減規模: 42,500人

    • 背景:カルロス・ゴーン元会長の失脚後、拡大路線から一転して深刻な業績不振に陥り、2019年に世界で1万2,500人の削減を発表。翌2020年の構造改革計画「NISSAN NEXT」では、世界全体の生産能力を20%削減する一環として、最終的に累計で約4万人以上の人員削減(スペイン・バルセロナ工場やインドネシア工場の閉鎖など)を断行。

  • フォード・モーター / 2002年1月

    • 削減規模: 35,000人(および北米の5工場閉鎖)

    • 背景: フォードvs.ファイアストンのエクスプローラ横転問題。お家騒動も表面化して、全面的な構造改革計画の一部で、生産能力を16%引き下げました。

今回のVWの人員削減はかなり深刻な理由

今回のフォルクスワーゲンによる最大10万人の人員削減は、これまでの自動車業界のリストラと比べてより深刻です。

その理由は

  1. 未来への投資(EV専用工場)」を潰さざるを得ない
    何と言っても一番痛いのはこれです。EVシフトのために巨額の投資を行いました。しかし、いずれ来るであろうEVシフトの波に乗る余力すら奪われた状態に陥り、進むも地獄、退くも地獄の厳しい状況に追い込まれてしまいます。
  2. ドイツ国内の基幹工場を潰さざるを得ない
    海外の不採算工場閉鎖と違って、本国の雇用を守ることすらできなくなる恐れがあります。ドイツのVW工場の労働者は、高い給与と手厚い福利厚生が保障されていました。ここにメスを入れるという事は、ドイツのものづくりの伝統にヒビが入ることを意味します。
  3. ドイツ経済への影響
    日本と同じで、自動車産業はドイツ経済の大きな柱です。「10万人の人員削減」で解雇された10万人が受ける影響よりも、サプライチェーン全体へのダメージのほうが大きくなります。

可能性は低いが、あり得なくもない

フォルクスワーゲンの労働者は強力な労働組合、IGメタルに守られています。また、大株主のニーダーザクセン州政府が全力でブロックするはずですから、簡単には人員削減は進められません。ただ、だからといって絶対に10万人規模の削減が無い、というわけではなく、5年、10年単位での10万人規模の削減はあるかもしれません。

もしかしたら、1993年の危機の時にVWが採用した週休4日制を復活させたりする可能性もあるかも?


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