中国と欧州、自動車生産能力過剰が深刻化

2026年8月12日

今、世界の自動車産業では「自動車を生産する能力がありすぎる」という問題が起きています。

特に目立つのが中国と欧州です。

中国の自動車製造業の設備稼働率は70.8%

中国では、EVを中心とした急速な設備投資によって生産能力が大きく拡大。しかし中国国内ではメーカー間の競争が激しく、すべての工場を十分に稼働させるだけの需要を確保することができなくなりました。中国国家統計局によると、2026年第2四半期の自動車製造業の設備稼働率は70.8%。生産能力の約3割が活用されていないことになります。

より深刻な欧州

欧州は、欧州の工場稼働率が50%台という状況です。パンデミック(2020年)以前、欧州市場では年間1,500万〜1,600万台規模の新車が販売されていましたが、現在は1,300万台前後まで市場全体が縮小したまま回復していません。因みに欧州の自動車生産能力は年間2,000万台以上あると言われています。

欧州各社は環境規制(CAFE規制等)に対応するため、既存のガソリン車工場に加えてEV専用工場やバッテリーラインへ巨額投資を行いました。しかし、補助金のカットや車両価格の高騰等によりEV需要の伸びが急減速。ガソリン車工場もEV工場もラインをフル稼働できない「ダブルの設備過剰」に陥りました。

中国の過剰生産が特殊な理由

中国の場合、余った生産能力を国内だけで吸収できないため、海外市場が非常に重要になります。

中国メーカーが欧州や東南アジア、中南米などへ積極的に進出している背景には、海外市場を獲得したいという目的ももちろんありますが、巨大化した生産能力を維持するために、そうせざるを得ないのです。中国メーカーの海外進出が加速すると、進出先のメーカーとの価格競争も激しくなります。

競争相手の中国メーカーと手を組む欧州メーカー

ここで、興味深いことが起こります。

欧州メーカーは、中国車の欧州市場進出をかなり警戒しています。その一方で、欧州メーカー自身も工場の稼働率低下に苦しんでいます。欧州メーカーはこれを解決しようと中国メーカーと協力する手段を選びました。

代表例がステランティスとLeapmotorです。ステランティスはLeapmotorと提携し、スペインのサラゴサ工場でLeapmotor車を生産する計画を進めています。さらに2026年には、中国の東風汽車集団との欧州での合弁会社設立も発表。フランスのレンヌ工場で東風の新エネルギー車を生産する構想も発表しています。同時期(5月15日)に中国・武漢の合弁工場「神龍汽車」でプジョー・ジープブランドのNEVを生産する契約も締結していますが、ステランティスとLeapmotorと比べて規模は小さいです。

中国メーカーは欧州市場を奪う競争相手ですが、余った工場を稼働させてくれるパートナーでもあるのです。

中国メーカー側にとっても、欧州で生産すれば、輸送コストや関税の影響を抑えられ、欧州市場により深く入り込むことができるメリットがあります。

生き残りをかけた激しい戦い

自動車業界は今、メーカー間の生き残りをかけた激しい戦いが始まっています。そりゃそうですよね、世界の自動車市場に、猛烈なスピードで中国の自動車メーカーが勢力を拡大しているので、その分生産過剰になります。それでいて自動車工場は雇用や地域経済、労働組合、政治や行政も絡んでいるので、簡単に閉鎖することができません。何としても生き残らなければならない使命を持って、生き残りの戦いをしなければなりません。


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