ダウンサイズし過ぎた1.0TSIエンジンがフェードアウト
厳しい環境規制をクリアするために開発されたダウンサイズ+ターボエンジン。
普段は小さなエンジンとして低燃費で走り、加速が必要なときだけターボでパワーを出すことで、CO2排出量を抑える目的で誕生しました。
ダウンサイズ+ターボエンジンが普及した大きな要因の1つは、フラットなトルク特性だと思います。小排気量NAエンジンのように「回さないと走らない」というストレスがなく、1,500〜2,000rpmあたりからグワッと最大トルクが立ち上がる感覚は、まさにディーゼル車に近い扱いやすさ。スペック以上の加速、力強さを感じることができました。
そんなダウンサイズ+ターボエンジンのアイコン的存在だったのがVWの1.0TSIエンジンです。1.0 TSIは、999ccの3気筒エンジン+ターボで、1.5NAエンジン並かそれ以上のトルクを発揮。
・VWポロ、ゴルフ、T-Cross、T-Roc
・アウディA1、A3
・シュコダファビア、オクタビア
・セアトイビザ、レオン
等に搭載されていました。
転換期を迎えた1.0TSI
1.0TSIは、小さな心臓で一生懸命、かつ力強く走る良いエンジンでした。多くの人の移動を支えてきた1.0TSIエンジンですが、今後新たな環境規制に対応するためにフェードアウトするような感じで消滅すると言われています。
ポロのように軽量な車両は、しばらく1.0TSIが残りますが、SUVやCセグメント等、重量が1200kg位~1300kg位以上の車両は1.0TSIから1.5eTSI(マイルドハイブリッド)や2.0TSIに置き換わるそうです。
なぜ1.0TSIがリストラ対象に?
環境規制が厳しくなるのであれば、なぜ小排気量である1.0TSIがリストラ対象になったのか気になりますよね。
その理由は、1.0TSIは実験室での数値は良いが、公道での数値はイマイチだったから。
実験室での数値、つまりシャシダイナモメーターという試験機の上で、決まったパターンで走る試験では小排気量エンジンは良い数値が出ました。しかし、ストップ&スタートが多い道路や急加速、急な上り坂、フル乗員や重い荷物を積んだような負荷がかかる場面では、ターボ加給の出番が増えます。
家庭用エアコンで例えるなら、6畳用エアコンで12畳の部屋を冷やそうとすると、ずっと最大出力で回り続けて電気代も高くなり、しかも機械にも負担がかかります。一方で12畳用なら一瞬頑張って、あとは効率のいい弱運転になるので、効率が良い。
ユーロ7が逆風
新しい環境規制のユーロ7では、負荷のかかる条件を意識した規制になるため、1.0TSIは構造的に不利になるのです。1.0TSIでもユーロ7をクリアすることはできると思いますが、EGR、燃焼制御、吸排気、触媒系、ソフト制御をかなり高度化かつ細かく調整する必要があり、難易度が高くコストもかかります。同じようなコストがかかるのであれば1.5TSIやマイルドハイブリッドにしたほうがコストパフォマンスが良くなると考えたのでしょう。
車両価格がまた上がる
1.0TSIから1.5TSI等に置き換わることで、車両価格が上がります。日本円で30万円位上がると言われています。エントリーモデルで30万円の値上げは痛いです。
・250万円の車の場合: 30万円の値上げは12%のアップ
・500万円の車の場合: 30万円の値上げは6%のアップ
・750万円の車の場合: 30万円の値上げは4%のアップ
求められる耐久性
車両価格が上がると、簡単に乗り換えができなくなります。消費者は耐久性の高い長く乗れる車を求めるようになります。
30系のプリウスは販売終了してから10年以上経過しています。10年~17年経過した30系のプリウスが日本国内の道路を元気良く走り回っています(元気過ぎる位)。
1.5eTSI等のマイルドハイブリッドがどれくらい耐久性が高いのかは現段階ではまだ分かりません。維持・メンテナンスで多少不安は残りますが、世界的に膨大な台数が普及するエンジンでしょうから、すぐに修理方法も確立されると思います。
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