テスラが値引き、他メーカーの金融部門にダメージ

2026年4月5日

アメリカのEV市場では、中古EVの再販価値が大きく下落することによって、自動車メーカーの金融部門がお大きな損失を受けているそうです。自動車メーカーの金融部門とは、例えばトヨタならトヨタファイナンス、テスラならテスラファイナンシャルサービス、フォードならフォードクレジットを指します。

シミュレーション:1台あたりの損失計算

金融部門は、リース契約をした瞬間に「3年後にこの車を◯◯万円の現金(資産)に変える」という計画を立てます。ところが、中古車相場が大きく下がるとその計画が狂います。

例えば700万円の車両の場合、ざっくり以下の表のようになります。

項目 金額(計算式) 解説
新車販売価格 7,000,000円 ユーザーへ貸し出す車両の元値
設定残価(3年後) 4,000,000円 金融部門が「3年後にこの価値がある」と保証した額
ユーザーの支払総額 3,000,000円 3年間で回収する元金分(月々のリース料)
実勢中古車相場 2,500,000円 3年後、実際にオークション等で売れる価格

 

EV1台の損失補填には、ガソリン車3~4台の利益が必要

このシミュレーションのケースでは 車両元値(700万円)- 合計回収額(550万円)= 150万円。つまり、150万円の赤字ということ。このEV1台あたりの損失を補填するために、ガソリン車3〜4台分の利益が必要になるそうです。当然メーカー直系のファイナンス部門なので、そこがダメージを受けると言う事はメーカー全体のダメージに繋がります。

中古EV相場が予想以上に下落している要因

1.テスラの新車値引き

今アメリカの中古EV市場下落の最大の要因と言われているのが、EV市場のリーダー的存在のテスラが新車価格を大幅に引き下げたことだと言われています。

値引きの方法も以前のようにいきなり「100万円値引きします」という手法では無く、

Model 3 RWDなら月額299ドル(日本円で約47,800円)で乗れますよ

のような打ち出し方をしています。月額の299ドルという数字は、ガソリン車の人気車種(ホンダ・シビックなど)のリース料を下回るほどのインパクトがあります。この月額299ドルを実現するためには、法の抜け穴(制度の設計を突いた合法的なスキーム)を突いて、メーカー側にほぼ無条件で7,500ドルが支給される制度を活用して実現しています。

2. 大手レンタカー業者による「投げ売り」

以前もブログに書きましたが、米大手レンタカーのハーツ(Hertz)が、保有していたEV(主にテスラ)を中古市場に一気に放出したことで中古EVが供給過多になり、相場が下落しました。

3. 補助金による逆転現象

アメリカのインフレ抑制法(IRA)などの補助金制度が、高年式中古車にとって逆風になっています。多額の税控除があるので、新車のお買い得感が強くなり中古車相場が下落。特に高年式の中古EVは、補助金を使える新車の方が安価になる、という逆転現象が起こってしまうのです。

テスラの金融部門にもダメージが及ぶが…

このテスラの値引き戦略は、競合者車メーカーの金融部門の損失を生むだけでなく、テスラ自身の金融部門にとっても大きな損失になります。

金融部門でマイナスが出てもテスラが値引きを実行できる何かがあるはずです。その何かとは車両製造コストダウンやソフトウェアで回収できる自信です。ソフトウェアのところが少し分かりにくいかもしれませんが、以下のようなイメージです。

Tesla Model 3に月額299ドルで乗れる
・FSD(監修付き完全自動運転):99ドル/月
・エンタメ系サブスク:10ドル/月
サブスクで毎月109ドル払う、結果299ドルが408ドルになる。

このサブスクで収益を得られるのがテスラの強味なのです。この収益が見込めないEVメーカーは、テスラ値引きの泥沼にハマることになります。

それにしてもアメリカの企業は、サブスクの設定が絶妙で心理的な囲い込み能力がとても高いでね。Amazonプライム、Netfxli、AI課金等、消費者はいつの間にか抜け出せなくなってしまうのです。


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