なぜBYDのモーターは優れているのか?

2026年3月22日

EVの心臓部であるe-Axle(イーアクスル)は、モーター(動力)、インバーター(制御)、減速機(伝導)の3つの基幹部品を1つのハウジングに集約した3 in 1ユニットです。

BYDはこの3 in 1ユニットに加え、

・車載充電器(OBC)
・DC/DCコンバーター
・配電ユニット(PDU)
・車両コントローラー(VCU)
・バッテリーマネジメント(BMS)

も取り込み、8 in 1になっています(車種により多少構成は異なりますが)。

このBYDの8 in 1に使用されているモーターが極めて優秀であることが、世界のエンジニアたちから注目されています。

恐ろしいほど高効率

アメリカのMunro & Associates(ムンロー社)等の専門機関がBYDのモーターを調査したところ、ただ高性能なだけではなく、恐ろしいほどの効率化を実現していることが分かりました。

例えば最高出力250馬力級のe-Axleでも、ユニット全体の重量がわずか85kg以下に抑えられています。モーターを最高18000rpmという超高速で回転させることでモーター自体をコンパクトにし、その分を12:1以上の高い減速比を持つ減速機でトルクに変換しています。8 in 1によって、個別のハウジングや配線が不要になり、ボルト1本に至るまで徹底的に無駄を削減しています。

究極の引き算で簡素化を実現

BYDのモーターが優れているのは、究極の引き算により簡素化を実現できたことにあると言われています。

高性能なパーツを足すのではなく、機能を維持したまま徹底的に無駄を削ることで進化をしてきました。複雑な構造を廃止し、上から順にパーツを置いて組み合わせるZ軸組み立てを採用することで物理的エラーを徹底的に排除し、製造コストと初期不良率を下げることに成功。

Munro & Associates(ムンロー社)のムンロー氏はこの究極の引き算のことを「Lean Design」だと述べています。

ボクシングで例えるなら、ミドル級の選手が体重を落としてライト級に階級を下げるも、パンチの破壊力はミドル級のままって感じです。

シンプルにすることが難しい

素人目線では、モーターをシンプルにするなら部品を減らせば良いのでは?と思うかもしれませんが、これが至難の業だそうです。e-Axleという超高密度に複数の主要部品が集約されたスペースで、熱の干渉や電磁ノイズと戦わなければなりません。また、小型化でもパワーを出すには高速回転が求められますが、そうなると熱の問題が湧いてきます。

また、モーターが含まれているe-Axleは。その一部の部品が壊れた場合でも基本的にASSY交換(丸ごと交換)することになります。つまり、BYDにとってはe-Axleは絶対に壊れてはならないユニットであり、高い品質保証が不可欠。

モーターは高性能化は実現できても、その高性能をエラーのリスクを最小限に抑えつつ、安価で再現できる設計に落とし込むことが最も難しいと言われています。BYDはそこに成功している点で、他メーカーと一線を画しています。他メーカーがBYDの背中を追おうとしても、単なる技術開発だけではとうてい太刀打ちできません。シンプルかつ高性能なユニットは、垂直統合化やサプライチェーンの再構築、設計思想の見直し等、かなり大胆な変革が必要になるからです。


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