フランスで車の故障が増えている理由
フランスでは今年の夏(2025年6月~9月)、ロードサービスへの報告ベースで約270万件の何らかの自動車の故障が発生しました。2024年と比較して4%増加したことになるそうです。
自動車の故障が増えた理由
なぜ自動車の故障が増加してしまったのでしょうか。主に2つの理由があります。
- 車両の老朽化
フランスの自動車保有台数は4,100万台に上りますが、平均使用年数(年齢)は12.9年。老朽化によって故障が増えたと言えます。因みに日本の平均使用年数は2024年3月末時点で9.34年です。日本における国産車は、輸出需要が高いので下取り価格も高く、新車への買い替え資金を調達しやすいからかもしれません。 - メンテナンス不足
車が古く、多走行になれば故障リスクは上がります。しかし、適切なメンテナンスがされていれば、そのリスクをある程度抑えることが可能。しかし、フランスの車検制度は日本の車検制度のように検査+予防保全的な内容ではなく、検査を受けて悪いところがあればそこを修理・交換すればクリアできます。勿論ゆとりのある人は、予防整備も行いますが…。
自動車の故障が増えた理由の理由
では、なぜ”車両の老朽化”や”メンテナンス不足”が起こってしまったのでしょうか?その理由は
- 新車価格の高騰
フランスでは、2020年から2024年の4年間で、新車価格が24%も急騰しました。
・2020年の平均新車価格:28,107ユーロ
・2024年の平均新車価格:34,872ユーロ
特に、一般市民(低所得者層と中間層)が購入者に占める割合が2019年の43%から31%にまで減少しました。購入できないので古い車に乗り続けることになります。 - 修理費用高騰と経済的余裕の欠如
フランスでは今年の修理費用が前年と比較して6.67%も増加しています。原材料や輸送コスト高騰で部品価格が値上りし、整備士の人件費も高くなりました。車の年齢が高くなれば修理頻度も増えます。近年の車は電子制御システムが使用されているので、修理の難易度も高くなっています。フランス人の2人に1人が予算不足のため車の修理を諦めていると言われています。つまり、何らかの不具合を認知しながら騙し騙し乗っていることになりますね。
今後さらに悪化する?
・新車が高くて買えない
・車の使用年数が長くなる
・修理代が高くて修理できない
・路上で故障する
この悪循環は、今後さらに悪化する可能性があります。環境規制や安全規制、地政学リスク等の影響を受け、新車はさらに高くなります。
まだ新しめの5~6年落ちの車はより高度な技術が採用されていますが、これが数年後には10年落ちになります。そうなると、さらに修理・メンテナンスが難しくなるでしょうから、修理費用はどんどん高額になります。
この負の連鎖をどこかで断ち切らないと、一般人が安心して車に乗れなくなってしまいますね。
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