オランダ vs. 中国「汎用チップ戦争」の裏側
オランダに本社を置き中国系企業が所有する半導体メーカー、ネクスペリア。オランダ政府が「国家安全保障やガバナンスへの懸念」を理由に経営権の制限・政府監督下に置かれたと報じられています。
これに対して、中国は報復措置として、ネクスペリアの中国工場で組み立てられた部品の輸出規制をしました。(組み立ては中国で行っている。)
この問題の背景には、アメリカが主導する中国に対する半導体封じ込め戦略が根本的な原因と言われています。オランダはすでに、次世代チップ製造に欠かせない特別な機械を事実上独占するASMLに対し、アメリカの要請を受けて対中輸出規制を強化してきました。今回のネクスペリアへの介入も、その延長線上だと思われます。
ネクスペリアはどんな部品を供給してきたか?
ネクスペリアが自動車メーカーに供給してきた部品は、高性能チップではありませんトランジスタやダイオード、電流のON/OFFを切り替えるMOSFET(モスフェット)と呼ばれる部品等、どちらかと言えばシンプルで汎用的な部品です。
汎用部品だが代替が難しい
ネクスペリアの扱っていた部品は比較的シンプルな汎用部品ですが、「だったら他のメーカーから仕入れる」が難しい理由があります。その理由は
- 圧倒的なスケールメリット
この分野で世界最大級のサプライヤーで、膨大な量の部品を供給してきました。他メーカーではその量をすぐに代替生産できません。また、超大量生産がコスト削減を可能にしてきました。 - 認証の壁
自動車に使用される部品は、厳しい品質認証が求められます。新たに部品を作ろうにも、耐久性や耐熱性が基準に達しているかの認証を得るためには、最低でも数カ月は必要と言われています。 - 今更崩せないサプライチェーン
自動車メーカーや自動車部品メーカーは、設計初期の段階からネクスペリアの部品を使用することを前提にしていました。それを変更すると言う事は、築き上げたサプライチェーンを見直さなければならず、多大なコストと時間が必要になります。
影響を受ける自動車メーカーは?
危機的状況を打開するために、オランダと中国両国は水面下で協議を行っていると思いますが、もし話がこじれたらかなり面倒なことになります。
最悪のシナリオは、話がこじれてネクスペリアが自動車向けの汎用部品の供給を、グローバルに長期間完全に停止することです。そうなると、自動車メーカーは残っている在庫が無くなり次第、自動車の生産が困難になります。
欧米や日本の自動車メーカーや自動車部品メーカーにも大きな影響が出ますが、特に強い影響を受けるのは、ネクスペリアの部品採用が多いVW、BMWでしょう。
中国の自動車メーカーはノーダメージ?
中国国内の自動車メーカーは、中国国内のネクスペリア工場からの部品調達を続ける限り、直接的な生産停止のダメージは回避できる可能性が高いと思われます。しかし、海外に生産拠点を置いている場合は、部品供給停止の深刻な影響を受ける可能性があります。
ただし、自社で半導体子会社を持っているBYDは、パワー半導体も自社設計・製造しているので、競合他社が弱体化することになるので、相対的に追い風になる可能性があります。
サプライチェーンの欠点
グローバルなサプライチェーンは、その効率性の高さと引き換えに、地政学的なリスクに対して脆い欠点があります。世界各国の関係がギスギスしている状況では、簡単に崩壊の危機に瀕してしまうので、もっとお互いフレンドリーになりましょうよ…。
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