引いて売る、自動車メーカーの販売戦略

2025年10月11日

中国の自動車メーカーGeelyの親会社「浙江吉利控股集団」と、その傘下の「ボルボ」の共同出資で設立された自動車メーカーLynk & Co。Lynk & Coの店舗は完全にアトリエスタイルに特化していて、「自動車ディーラー」と呼ばれることを完全に避けています。

Lynk & Coは店舗で自動車の売買取引を行う従来の販売方法とは大きく異なります。クラブ(あえて言うならディーラー)に来てもらい、車の購入に消極的だった都市生活者や若年層を、コミュニティメンバーとして取り込むことが目的。また、Lynk & Coは車を通常の購入(買い切り)することだけが目的ではなく、車を所有しないサブスクやシェアリングで利用するものという考え方が強い企業でもあります。例えばLynk & Coの車を購入した人(買い切り)やサブスクリプションで長期契約した人が、スポットで利用したい人にシェアリングとして短期間貸し出すP2P(Peer-to-Peer)、個人間シェアリングが核となっています。


Lynk & Coのクラブを訪れた人をどうやって自動車販売やサブスクやシェアリングとつなげるのか?

これがなかなか分かり難いとこれすが、こんなイメージになります。。

  1. 非強制的な関与
    自動車購入に消極的な人がクラブの凝った内装の雰囲気の中でカフェを利用する。あるいは、共用テーブルやWifi、電源完備のコワーキングスペースで仕事をする。休憩中にギャラリーのアートを鑑賞して時間を潰す。
  2. 帰属意識の醸成
    洗練されたデザインに興味を持つと、デザインのカスタマイズツールで車の仕様いじったり、ワークショップイベントに参加して共同作業することで、他の来場者やLynk & Coを購入したりサブスク契約したオーナーが交流する。これによって、自分もLynk & Coのブランドの一員になったと少なからず思います。ここでブランドに対する愛着や親近感が生まれます。
  3. ライフスタイルの一環になる
    日常的にクラブのカフェを利用したり、販売されているアート作品や雑貨を購入することで、生活の一部にLynk & Coが溶け込むような存在になります。
  4. 移動手段として受け入れる
    Lynk & Coが生活の一部に溶け込んだところで、いざ移動手段を入手する必要に迫られるとします。そこで日頃利用しており身近な存在となったLnyk & Coの車をカーシェアリングで利用する。長期使用することになったらサブスクリプション契約したり購入する。

ポイントになるのは、販売やサブスクリプション契約はブランド体験の延長線上にある、と言うところです。

今はいとも簡単に様々な情報が得られる情報過多の時代。特にデジタルネイティブな若年層には不誠実な売り込みは簡単に見抜かれます。自分で集めた情報を元に、自分で納得して選ぶことに価値を見出しているのです。


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