自動車版サブプライムローン、Tricolor社の破綻とその背景
以下の”自動車版サブプライム破綻”のニュース。
2008年のリーマンショックのサブプライム破綻とは規模も破綻した理由も大きく異なり、Tricolorと言う個別企業の倒産事件ですが、自動車に関することなので少し気になりました。
Tricolorは、低所得者や社会保障番号を持たない移民、信用スコアが低いあるいは、日本ではスーパーホワイトと呼ばれている金融に関する信用スコアを全く持っていない人を対象に、自動車購入資金を融資していました。
非常にリスクが高い人たちにお金を貸すので、当然貸付金利も高くなります。
自社販売自社ローン
まず、念の為説明しますが、サブプライムローンは、信用スコアの低い借り手に対してお金を貸すローンの総称です。
Tricolorは金融専門のビジネスではありません。Tricolorのベースは自動車販売店で、自社で販売している利用者に、自社のサブプライムローンを提供している業態です。つまり、販売と融資を一体化したビジネスモデルでした。
日本でも、金融事故歴のある人でも、自社オートローンで販売するタイプの自動車販売店が存在します。それと同じですが、日本の自社ローンの車屋さんは金利0%のところが多いです。
Tricolorが破産した理由
Tricolorの破綻は経営不振が直接の原因ではなく、ある不正行為が外部の金融機関に発覚したことが引き金となったからです。
その不正行為とは二重担保。Tricolorに対する融資元の一つであるFifth Third Bancorpが、融資に関連する資産を監査する中でTricolorの不自然な点に気が付きました。担保となるべき自動車ローン債権が、複数の銀行に二重に設定されていたのです。つまり、同じ自動車ローン債権で複数の銀行から二重に資金を借り入れていたってことになります。複数の貸し手が合意している共同担保と違い、一つの担保を複数の貸し手に対して、その事実を隠す行為は詐欺であり、違法です。
Tricolorのニュースから見えるアメリカの状況
このビジネスモデルが成り立っていた背景には、アメリカの社会が抱かえるている問題があります。
Tricolorの利用者は、その多くがヒスパニック系の移民でした。移民・低所得者層は、家賃の安い公共交通が不十分な地域で生活するケースが多いので、車は生活必需品です。しかし、彼らは通常の金融機関からお金を借りることができないので、Tricolorのような自動車販売店を頼りにするしかありません。
Tricolorはそんな彼らの救世主だったのか、あるいは弱者の足元を見て利益を上げる商人だったのかは分かりませんが、結果不正を行っていたのであれば、このビジネスそのものが健全な形では成り立たなかったことになります。
アメリカが不法移民、経済・金融格差とその格差固定化という問題を抱かえることが、改めて分かるようなニュースでした。
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