粉塵排出が少ない車が環境に優しい車
EUが定める自動車の排出ガスとその他の汚染物質の規制基準があります。この規制はこれまでのユーロ6から、より厳しいユーロ7に向けて進んでいます。
ユーロ7は規制内容が厳しすぎるために、自動車業界や一部のEU加盟国からの反発が、当初より適用時期が延期されました。
具体的には
・乗用車とバン:2025年 → 2028年
・大型車 2027年 → 2030年以降
に延期されています。これが最終的な着地点になると言われていますので、2028年~移行期間を経てユーロ7が適用されることになりそうです。
ブレーキパッドの粉塵は排気ガスより有害か?
ユーロ7がブレーキパッドの摩耗、タイヤの摩耗による粉塵も規制対象になると聞いたときには、冗談でしょ?と思っていました。しかし、粉塵や煤塵等の浮遊粒子状物質が予想以上に人体に悪影響を与えていると知ってからこの考え方は変わりました。
今年の2月には英サウサンプトン大学が、ジャーナル誌のParticle and Fibre Toxicologyに、自動車から排出される粉塵について驚きの研究結果を発表しています。
世界中で浮遊する粉塵・粒子のせいで、年間 400 万人以上が早期死亡しているとした上で、
「自動車のブレーキパッドから発生する微粒子が、ディーゼル車の排気ガスよりも毒性が高い可能性がある」
と指摘。ブレーキパッドに含まれる銅が、排出される粒子の毒性に大きく影響することを示唆。摩耗粉塵が肺胞細胞の恒常性を乱すことが確認されています。
高温時でもブレーキの効きを安定させるために銅が使用されてるそうですが、最近は銅を使用しない、銅フリーのブレーキパッドも増えているようです。
曙ブレーキはすでに銅フリーのブレーキパッドを使用しています。
銅を含まなければ安全なのかは分かりませんが、摩擦によって別の素材(有機物、セラミック、鉄、スズなど)の微粒子は必ず発生します。これらの粒子も、超微粒子としてPM2.5に含まれ、人体に何らかの影響を与える恐れがあります。
ドラムブレーキ回帰?
最近ステランティスが、ブレーキダスト対策として新たなドラムブレーキを開発しているそうです。ドラムブレーキはディスクブレーキと違って摩擦面が密閉されたドラム内にあるため、粉塵を閉じ込め易い構造です。さらに、磁石を使ってこのドラム内の粉塵を捕集すると言う環境に優しいドラムブレーキ。これはなかなか良さそうですね。
EVはブレーキダストに有利だが…
EVは内燃機関車と比べて圧倒的にブレーキダストが少ないです。EVはアクセルペダルを緩めると、回生ブレーキで減速できるからです。この回生ブレーキの操作に慣れると、フットブレーキをほとんど使用せずアクセルの開閉だけで運転する、ワンペダルドライブも可能です(もちろん危ない時は必ずフットブレーキを使用)。
ただし、EVはブレーキダストは少ないのですが、タイヤの粉塵はとても多いと言う弱点もあります。重い車重と、発進直後から最大トルクが発生するので、タイヤに大きな負荷がかかりやすいです。発進時の加速が爽快だからと、ガンガン急加速をすると、あっという間にタイヤはすり減ります。
このように、粉塵やマイクロプラスチック等、微細な物質が人体に悪影響だと言われていますが、発生源は違いますが、ガソリンやディーゼル車の排ガスも、ブレーキダストやタイヤの粉塵と同じく、粒子・微細な物質であるという点では根本的に同じ。つまり、微細な粒子を出さない自動車が環境に良い自動車と言えます。
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