自動車窃盗、次の手口は入手が容易な汎用ツールか?

2025年8月24日

愛知県は車両盗難がとても多く、2024年の車両盗難の被害額は約32億6066万円だったそうです。愛知県は自動車保有台数が全国1位、窃盗団に狙われやすいランクル、アルファード、レクサス、プリウスも数多く存在します。交通アクセスが良いので盗んだ車両を運搬しやすいこともあり、窃盗団にとって好条件なのでしょう。

どんな手口で盗まれるのか、ニュースやワイドショーでも報道されているのでご存知の方も多いと思います。基本的にはスマートキーの車両を特殊なツールを利用して、エンジンを始動させて盗む手口。テレビやネットニュースでも、「CANインベーダー」「リレーアタック」「ゲームボーイ」なんていう専門用語が出てきますが、不正ツールや特殊な技を悪用して車両は盗まれます。


愛知県には自動車窃盗ツールに関するこんな条例が存在します。

愛知県安全なまちづくり条例 第二十六条の二

条例文をそのまま記載してもややくしいので、要約しますと

セキュリティシステムを無効化して車を盗むことを目的とした「専用ツール」を業務上や正当な理由がないにもかかわらず所持すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される

と言う内容です。この条例によって「自動車窃盗」と言う犯罪の心理的ハードルを上たり、怪しい人を職務質問した際に専用ツールを所持していた場合、取り締まりを容易にする効果はありそうです。

しかし

「この条例があるから安心だ!」

とは行きません。実際にこの条例があっても自動車の窃盗は無くなっていませんから。


今後は汎用ツールにも注意が必要?

今まで存在していた車両盗難の専用ツールは、理由なく所持していると取締の対象になったり、闇市場等でしか購入することはできません。しかし、最近世界で問題になっているのは、フリッパーゼロやラズベリーパイ等の、多様な用途に使える汎用的な電子ツールを悪用した自動車窃盗です。

以下は、ベルギーのルーヴェン・カトリック大学の研究チーム「COSIC」が、わずか195ドルのラズベリーパイをベースにした自作ボードを使って、テスラ・モデルXのキーレスエントリーシステムをハッキングし、車を盗むことが可能であることを実証した記事です。
Tesla Model X hacked with $195 Raspberry Pi based board

しかし、特に最近注意が必要なのはフリッパーゼロと言われています。

このガジェット好きな人にとっておもちゃのような存在であるフリッパーゼロが、今後自動車窃盗に悪用される恐れがある、というのです。

ラズベリーパイは拡張性が高く、フリッパーゼロよりできることは圧倒的に多いのですが、専門知識が必要です。また、周辺機器も必要になるので、携帯性や現場でのセッティング等を考えると窃盗団にとって都合の良いツールとは言えません。


フリッパーゼロでできること

  • 無線プロトコルの扱い
    さまざまな無線プロトコルを扱い、ガレージの扉やゲート、電波式スイッチなどを制御できる。
  • 信号のクローンと保存
    未知のリモコン信号を分析して複製し、何百ものRFIDカードやNFCタグのデータを保存できる。マンションやホテルのカードキーの読み取り等。
  • 赤外線リモコン
     あらゆる種類の赤外線リモコンを読み取って、内蔵のライブラリを使って使用可能。例えばテレビやエアコン、オーディオ機器などの赤外線信号を学習して、リモコンとして使用することができます。

他にも、U2Fタイプの2段階認証、一部の電子ロック式金庫の脆弱性を突いたロック解除、さまざまな無線機器が使用する信号を自ら作り出して送信することができるそうでうす。


フリッパーゼロを悪用する人も

フリッパーゼロはとても高機能で面白いツールだと思いますが、使う人のモラルによってその性質は大きく変わります。

家族が見ているテレビ番組を勝手に変えるようないたずらなら良いと思います。

しかし、

・公共の場に設置されているテレビのチャンネルを変える
・公共の場のイルミネーションをハックして点滅させる
・ガソリンスタンドの価格表示を勝手に変える
・店舗の自動ドアを操作して店員が困る様子を見て楽しむ
・万引き防止タグを無効化する

こんな使い方ができるのもフリッパーゼロ。

フリッパーゼロでできるいたずらのアイディアを募集しているサイトも存在します。


近い将来自動車盗難に使われるかも

このフリッパーゼロに、あるファームウェアを組み合わせることで車のドアロックを解除できるそうです。現時点ではまだエンジン始動はできていないみたいですが、エンジン始動できるようにるのも時間の問題と言われています。もしこれでエンジン始動できるようになったら驚異的なツールになる可能性がありますね。

フリッパーゼロは自動車盗難の専用ツールではありません、あくまでいろんなことができるマルチツールなので、イモビカッターのように条例で規制することは難しいと思います。

ただ、過去に規制の動きはありました。

特にスマートキーの車は、ステアリングロックのような物理的な盗難防止装置を使ったほうが良いかもしれません。


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