Ivecoを買収するタタの狙いは?

2025年7月30日

インドのタタ・モーターズが、イタリアの商用車メーカー Iveco(イヴェコ) を買収する交渉を進めていると報じられました。買収金額は約45億ドル(日本円で約6,975億円)になる見通しです。

Ivecoって聞いたことないぞ?と思われる方も多いと思います。日本のトラックやバス市場は、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックス等、国内メーカーが圧倒的なシェアを占めているので、海外メーカーが入る隙がないからです。稀にVOLVOやメルセデス・ベンツのトラックが走っていますが、かなり少数ですね。

タタは2008年に(JLR)ジャガー・ランドローバーをフォードから買収していますが、このときの買収額は当時の為替レートで約2,280億円でした。Ivecoの買収額はJLRの約3倍になります。しかし、JLRは当時のフォードにとって不採算部門だったので、タタは火中の栗を拾った形でJLRを買収しています。

そんなJLRの2024年度のJLR単体の売上高は5兆9,000億円、タタの買収時から大きく成長しています。タタにとってJLRは極めてリターンの高い投資だったと言えます。


タタの狙いは?

タタは自動車のイメージが強いと思いますが、その実態はインド最大の多角経営企業です。タタがIvecoの買収を検討している理由は、タタ・グループのコングロマリットとしての成長戦略だと思われます。タタ・グループは乗用車、鉄鋼(タタ・スチール)、ITサービス(TCS)、エネルギー(タタ・パワー)、化学(タタ・ケミカルズ)、食品・日用品(タタ・コンシューマープロダクツ)、他にも金融や保険、ホテル・観光、航空、通信等幅広い経営を行っています。そしてIveco買収を実現させればトラックなどの商用車部門を強化することができます。

韓国のサムスン・グループも同じように多角経営企業ですね。サムスンとタタが大きく異なるのは、サムスンは海外マネーの活用で成長しました。一方、タタ・グループは非上場で、Tata Trustsという慈善財団が大半の株式を保有しています。そのため、タタは外資の影響が限定的。非上場であるため外部圧力に左右されにくく、秘密保持も容易、それがM&A成功の要因とだと言われています。

「非上場のタタ・グループがどうやって資金調達しているの?」

と思われるかもれませんが、傘下の主要子会社は上場しているので、そこを通じて資金を調達しています。


タタは独自の経営哲学を持つ非常に興味深い企業です。社会貢献の精神や愛国心が強い企業であり続けられるのも、短期的な市場の外圧に左右されない非上場企業だからことできるのでしょう。

国の発展の中核に存在するのがタタ・グループであり、インドそのものの成長と直結していると言っても過言ではありません。


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