日本人も知るべき「修理する権利」の重要性

2025年7月26日

日本ではあまり修理する権利(Right to Repair)、と言う言葉をあまり聞きません。

修理する権利とは、

購入した商品を自分で修理(DIY)、あるいはメーカー以外の独立した修理屋さんで修理する権利が保障されている

最も身近な例は、iPhoneじゃないでしょうか。iPhoneのバッテリーやスクリーンを交換したいと思っても、メーカーは基本的にDIYや独立系の修理屋さんで修理されることを想定していません。

独立系の修理屋さんでも、修理できなくはないのですが、非正規修理することによって、Appleの正規の保証や、下取りサービスが利用できなくなる恐れがあります。つまり、iPhoneは社外部品等を使って修理することができますが、「修理する権利が保障されている」とは言えない状況です。

iPhoneが純正部品を一般市場に流通させ、個人や修理屋さんが修理できるようになり、なおかつ正規の保証や下取りサービスを受けられるようになれば「修理する権利がある」と言えます。


近年の自動車も修理する権利が侵害されています。

アメリカはDIYがとても盛んです。できる限り自分で直そうという精神が強い国ほど、修理する権利の侵害に強い不満が出ます。

今まで壊れたら交換して直してきた車好きのYoutuberが、複雑な設計やCANバスを介した通信によって制御されるようになり、メーカー指定の修理工場で高額な修理費を支払わないと直せなくなったと不満を述べています。特にテスラのオーナーはその不満が大きいようですね。

自動車を購入して、その自動車の所有者になったとしても、それを動かすシステムはメーカーが所有してるようなものだと述べている人もいます。

アメリカのウォーレン・デビッドソン下院議員(オハイオ州選出)はこんな主張をしています。

自由とは買ったものを自分の意思で修理できることではないか?
自動車メーカーが修理用の専用工具、ソフトウェア、ノウハウを囲い込み、自社だけで修理を独占しようとするのは、消費者の権利を奪っている。

DIYが困難になっている事に対してメーカーは表向きにはユーザーへの安心安全な修理の提供、知的財産権の保護、サイバーセキュリティによる改ざんを防ぐためだと主張。本音は自動車の製造・販売、修理、保険全て囲い込みたいのだと思われます。


アメリカでは修理する権利を守ろうとする主張は、草の根運動から始まり、政治家が動いて州レベルで具体的な成果が出つつあります。今後は連邦政府を動かす可能性があります。

欧州(EU)では、2027年までにスマートフォンのバッテリーを交換可能な仕様を義務化されますが、これは修理の権利を主張した結果だと思います。

自動車の修理の難易度がかなり高くなっていることは事実です。修理する権利を完全に侵害しているとは思っていませんが、自動車の修理・メンテナンスをしている弊社にとっても最近の自動車は本当に修理が難しくなったと思っています。

それでも日本では、比較的安価に修理できて当たり前だった時代が長く続いてきました。今後日本は人手不足や物価高等、簡単な修理であっても高額な修理代を請求される日が来ると思われます。日本でも、消費者が「修理する権利」の重要性を認識するタイミングが来ていると思います。


好きな車と、暮らそう。

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