世界の自動車産業、生産能力過剰時代に突入!?

2025年6月11日

中国重慶で開催された自動車フォーラムで、Geelyの会長が

「世界の自動車産業の生産能力が過剰になっている」

と警告しました。

過剰な生産能力と聞くと、

「生産能力にゆとりがあって安心だ」

と思ってしまうかもしれませんが、稼働していなくても人件費や光熱費がかかりますし、減価償却費も発生してしまいます。また、供給過多による在庫リスク、価格競争の激化によって収益性が悪化する恐れがあります。

生産能力過剰に陥った理由

では、なぜ世界の自動車産業は生産能力過剰に陥ってしまったのでしょうか。

その答えは10年前と今を比較すれば容易に分かります。

10年前と今と大きく異なるのは、中国の自動車メーカーの存在です。10年前の中国国内にはドイツ車等の外国車が売れていました。日本の車も売れていましたね。

ところが中国の自動車メーカーが急成長している今、中国国内で売れている車は自国の自動車メーカーの車です。

中国の自動車市場は世界最大規模なので、特にドイツの自動車メーカーは大きな市場を失ったことになります。さらに中国の自動車メーカーは国内だけではなく国外での販売台数を伸ばしており、海外にも生産工場を建設して生産台数を増やそうとしています。

中国の年間自動車生産能力は4,000万台を超えると言われています。

今まで既存の自動車メーカーが世界に自動車を供給していたところに、大量生産能力を持つ中国の自動車メーカーが参入したので、そりゃ生産過剰になりますよね。

今のところ生産過剰に陥っているのは、中国の自動車メーカー、VW、ステランティス(フィアット・プジョー等)。日産も工場閉鎖するニュースから生産過剰になっていると思われます。一方で、トヨタはジャストインタイム生産方式や柔軟な生産体制で、この問題に比較的うまく対応しているのではないでしょうか。ジャストインタイム生産方式は、災害や感染症のパンデミック等に弱いという側面がありますが、長い目で見るととても有効な戦略であることが分かりますね。

もう1つ、既存の自動車メーカーは、EV生産ラインへの大規模投資を進めつつも、既存の内燃機関車の生産設備も維持せざるを得ない状況にあります。これも生産能力が過剰になる原因になっているのでしょう。

この生産能力過剰はとても解決が難しい問題です。下手に手緩めたら、あっという間に中国勢に市場シェアを奪われるからです。

既に中国の自動車メーカーは残酷な価格競争が始まっています。過剰生産在庫を消化しようと、どんどん中国国外にも中国車が送り込まれるフェーズに突入しています。


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