SUVは歩行者にとって危険な存在? 死亡リスク44%増の実態
インペリアル・カレッジ・ロンドンと、ロンドン衛生熱帯医学大学院(LSHTM)がSUVが歩行者や自転車と衝突した場合、通常の乗用車に比べて死亡リスクが44%高くなり、特に10歳未満の子供の場合、130%も死亡リスクが上昇すると発表しました。この発表は過去35年分、68万件以上の膨大な事故データを分析したかなり大規模な調査に基づくものです。
SUVは車両重量が重くなるので、ある程度死亡率が高くなることは誰でも容易に想像できますが、実はそれだけが原因ではありません。
もちろん車両重量も大きな要素ですが、SUV特有の車両形状に歩行者死亡リスクが高い問題があることが分かりました。
- SUV特有の前面形状
SUVはボンネット前端が高くなっています。人に衝突した際に、一般の乗用車では脚部に大きなダメージが及びますが、SUVの場合は上半身(胸部や腹部)のダメージが大きくなります。特に子供の場合、SUVの前端が胸部にぶつかるので、致命傷になる確率が高くなります。学術誌のEconomics of Transportationが2024年に発表によりますと、車の前端の高さが10cm増加すると、歩行者の死亡リスクが22%増加するそうです。 - SUVと衝突後の挙動
SUVは前端が高い形状なので、衝突した人がボンネットに乗り上げずに路面に押し倒されるような形になり、硬い地面に叩きつけられます。前端の低い乗用車の場合、衝突後ボンネット上に上半身が乗る形になります。最近の車はボンネットフードとエンジンヘッド(硬い部分)との間に、人身事故対策としてスペースが設けられています。このボンネットである程度衝撃を吸収してくれます。
IIHS(Insurance Institute for Highway Safety (米国道路安全保険協会))は、SUVは2度轢かれるリスクがあることを警告しています。
SUVで最も最悪なケースは、
- 最初の衝突で上半身に大ダメージを受ける
- 路面に叩きつけられて2度目のダメージを受ける
- 倒れていたところに再度そのSUVに轢かれる
だと思います。
現行のトヨタ・プリウスは前端がかなり低くなっていますので、このような形状の車両は歩行者の死亡リスクが少なくなるはずです。
いずれにしてもハンドルを握っている時は常に安全運転を心がける、これが一番大切だと思います。
好きな車と、暮らそう。
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