米関税で炙り出される不都合な事実

2025年4月12日

ある依頼があって、アメリカの社外ホイールメーカーについて調べていました。アメリカには富裕層が乗る車両向けに、かなり高額な社外ホイールを製造・販売しているメーカーが存在します。

特に西海岸にホイールメーカーが多いのですが、その主な理由は

  • カスタムやチューニングカルチャーが盛ん
  • 中国や台湾からの部品輸入の利便性が高い

Made in USAを謳っているホイールメーカーであっても、中国等からアルミ素材を鍛造や鋳造された”ホイールブランク(粗形材)”の状態で輸入し、細かいデザインや高精度が求められる残りの高付加価値な工程はアメリカ国内で行うケースがあります。勿論、全工程をアメリカ国内で行っているホイールメーカーもありますが。

中国から素材を輸入しているホイールメーカーは、145%関税のインパクトが即効で現れるので、早い段階で値上げが必要になるでしょう。そのようなホイールメーカーが大幅な値上げを実施した場合、国内一貫生産のメーカーは相対的に価格競争力が上がり、それらも値上がりすると思われます。

西海岸の意識の高い富裕層をターゲットにしていたMade in USAのホイールメーカーは、半分中国製だった…と知られたくないでしょう。しかし関税の影響をモロに受けて価格を大幅に見直すことによって、あのメーカーはもしかして…、と疑われるかも。

さて、アメリカの関税に関してもう1つ、ちょっと信じられない情報をキャッチしました。

アメリカ人消費者が、とんでもない勘違いをしている可能性がある、と言う内容です。

トランプ政権の今回の関税、

「輸出国が全額負担する」

と誤解しているアメリカ人消費者が一定数存在していると言うのです。

SNSで

「関税は中国が払うんだろ?俺達はノープロブレムだ」

のような発言をしている人がいるとか。

「そんなバカな…」

と思うかもしれませんが、影響力のあるメディア、Fox Newsが中国からの輸入品に関税を課される中小企業経営者の事例を紹介。

以前は2万6000ドルだった関税が、トランプ政権の追加関税により跳ね上がり、輸入した経営者が多額の負担を強いられている。多くの人が「関税は中国が払う」と誤解しているが、実際にはエンドユーザーであるアメリカ国民が負担していることを伝えています。

アメリカ政権側とアメリカの一部の消費者側との関税の理解に大きなギャップが生じているのは、トランプ氏があたかも中国が関税を負担するかのような誤解を生む発言、つまりレトリックが原因なのかもしれません。


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