メンテナンス不可能?増えるゾンビカー問題

2025年3月1日

あまり公にはなっていませんが、中国の自動車業界の闇を表すキーワードがあります。そのキーワードは”ゾンビ“です。

ゾンビ工場

中国では、政府の強力な後押しがあって、雨後の筍の如くEVメーカーが急増しました。ところがBYDのように躍進したメーカーもあれば、熾烈な競争や過剰生産等の影響で、多数のEVメーカーが消滅しています。

中国では2023年に過去最高の3010万台の自動車が生産されました。中国のEV市場での競争激化や過剰生産によって、多くの新興EVメーカーが淘汰されています。そこで問題になったのが、ゾンビ工場の増加です。ゾンビ工場はまともに自動車を生産してないので、資源や人材を浪費します。また、ゾンビ工場は労働条件も悪化するので、地域経済にも悪い影響を与えます。

ゾンビカー(ゾンビ自動車)

最近問題になりつつあるもう1つの”ゾンビ”はゾンビカー。自動車は決して安い買い物ではありませんが、ゾンビカーを購入してしまったら、大きな経済損失が発生することになります。

ゾンビカーとは、その名の通り”ほぼ死んでいる車“を意味します。具体的には購入した自動車が使い物にならない状態になることです。

例を使って説明しますと

  1. Aさんが25万人民元(日本円で約515万円)の新車EVをローンで購入。
  2. 翌年購入したEVのメーカーが経営破綻。
  3. Aさんが購入した車のソフトウェアに致命的なバグが発生。車が動かなくなる。
  4. 修理したくてもメーカが消滅し、販売店舗も閉鎖。
  5. 街の修理屋さんではソフトウェアの不具合は修理不可。
  6. 利用価値を失った車のローンを払い続ける。
  7. 経済的損失によって、子供の教育費を捻出できなくなる。

このように、故障しても修理不能になったり、ソフトウェアのアップデートが停止してしまい、利用価値を失った自動車をソンビカーと呼びます。複雑なソフトウェアシステムは、メーカーのサポートが途絶えてしまうと途端に無力化する恐れがあります。中国車のハイテク装備は開発開始から実装されるまでの速度がとても速いです。その結果、実証実験期間が短縮されている可能性があるので、そうなると故障リスクは高くなります。

“7.の済的損失によって、子供の教育費を捻出できなくなる”
は余分かもしれませんが、ゾンビカーが恐ろしいのは、消費者の生活を根底から脅かす存在であることです。


ハイテク装備の不具合は修理が困難

中古車相場が崩れて車両価値がゼロになろうが、走る・曲がる・止まるができれば利用価値は残ります。しかし、ゾンビカーにはその利用価値すらも無くなってしまうわけですから、特に頭金少なめのローンで購入した人は負債と精神的負担しか残りません。新車保証もメーカーが存在しなければ無意味、事故ではないので保険も使えません。

ゾンビカーを買わないようにするためには、ある程度の実績や歴史のある自動車メーカーから購入することが最も有効だと思います。

中国では国策や制度によって、意図せずAさんのようになってしまう人々が少なくありません。このような状況に陥った人がいても国家目標が優先されるでしょうから、「自己責任」として切り捨てられてしまうのでしょうね。

最後に、最近の自動車の過剰なハイテク化は、中国以外の国でもゾンビカーを発生させる可能性がある、と思っています。


好きな車と、暮らそう。
AUTORIESEN
052-774-6151
auto@riesen.co.jp

サービス工場Blog
車検、点検、整備のあれこれを毎日更新!
熟練のメカニックの匠の技をご覧頂になれます。