インド当局、VWに2130億円追徴課税|その背景を読み解く

2025年2月16日

NISAでインド株に投資している人も多いと思いますが、インドに進出している外資企業にとって不安な問題が浮上しています。

インド当局がフォルクスワーゲン(VW)に対し、過去12年分の輸入関税の追徴課税を要求。その額は何と14億ドル(約2,130億円)に上り、現在経営課題を抱えるVWにとって深刻な問題となっています。

この問題の本質は、自動車部品の輸入に関する税率の解釈の違いにあります。

インド当局の主張
VWがインド国内で自動車を生産するための部品を個別に輸入して、本来適用される30〜35%の輸入税を、5〜15%の税率で申告し、税逃れをしてたと主張。

もう少し詳しく説明すると、本来適用される30〜35%の輸入税は完成車をインドに輸出した際に発生します。しかし、部品をインドに輸出して、インド国内で車両を組み立てた場合に適用される税率は5〜15%になります。

もっと具体的に例を上げて説明すると…

  1. 完成一歩手前の車両をインドに輸出し、インドでドア1枚だけ取り付ければ完成車にする
  2. シャシーの状態からインドに輸出し、インドで電装品や内装、外装部品を取り付けて完成車にする

同じインド生産でも1.と2.とでは、2.の方がインド国内での雇用創出や技術習得の貢献度が高いと言えます。

インド当局は、VWがほぼ完成した車両をインドに輸出(実質は完成車)し、一部の部品を取り付けて車両を完成させるのは税逃れだ、と指摘しているようです。”部品とは何ぞや?”の定義が、法律や税制の解釈によって大きく異なってくるのが、この問題の難しさですね。

VWの主張
インド当局の指摘が事実だとしたら、当然VWは税金を支払うべきです。しかし、VWは部品としてインドに輸入して、インド国内で車両を組み立てることを、2011年にインド政府から承認を受けていたと主張。

VWがインド政府にどんな状態の部品をインドに輸出し、インド国内でどんな工程で完成車を生産するのかを明確に伝えていたのかは不明です。

最終的には裁判所の判断になると思いますが、仮にVWの主張が正しいのに追徴課税の支払いを命じられることが決まれば、外資企業にとって

「インドはちょっとヤバいんじゃない?」

と考えるのが自然です。

モディ政権は外資企業の誘致を重視してきましたが、それと並行して国内産業を強化するMade in India政策も推進してきました。自国での自動車製造技術が高まるにつれ、外資企業の完成車に近い車両からの組み立て生産を行うメリットが小さくなり、

「組み立てるだけの役割を終えたい」
「いよいよ自立する時が来た」

と考えているのかもしれません。

今回のVWの追徴課税問題は、他の外資企業にとっても他人事ではありません。今後この税金問題がどうなるのかとても気になりますね、投資家にとっても重要な判断材料となるでしょう。


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