ドイツの自動車部品サプライヤーの三重苦

2024年12月23日

先月、ドイツの自動車部品大手のBOSCHが2032年までに最大で5,550人の人員削減を計画している件についてブログを書きましたが、急なEV化は大量失業を招く、は現実に起こり始めています。

長年にわたりメルセデス・ベンツ等の自動車メーカーに使用するグリルやバンパーの一部、エンジンカバー等、高品質なプラスチック部品を開発・生産してきたゲルハルディ社(Gerhardi Kunststofftechnik GmbH)が、破産申請を行いました。

4つの拠点で働くゲルハルディ社の従業員約1,500人が職を失う危機に瀕しているそうです。

ゲルハルディ社は1796年に創業し、1952年から自動車部品製造に主軸を移しました。亜鉛メッキの洗練されたプラスチック部品の開発および製造を得意としていて、取引相手が名門自動車メーカーだったこともあり、とても安定している企業でした。

ところが新型コロナウィルスの影響以降、半導体不足による生産停止や減産でダメージを受け、EV化による自動車産業の構造的変化によって苦しい状況に追い込まれました。

ゲルハルディ社の2025年以降の事業計画では、メルセデス・ベンツのCクラスとGLC向けにラジエターグリルを供給する予定でした。ところが、その大型受注がキャンセルされたことで状況が一変。破産申請に追い込まれまったのです。

今ドイツでは、自動車部品メーカーの求人件数が過去最低の水準に落ち込んでいます。ドイツのifo経済研究所(ミュンヘンの経済シンクタンク)の新技術センター所長は、ドイツ自動車産業全体の現状について

「求人広告の減少は、EVへの転換がここ数ヶ月で大幅に減速していることを明確に示している」

と述べています。

ドイツの自動車産業はEVへの移行、移行したEVの減速、中国自動車メーカーとの競争激化、コスト高、産業構造の変化によって、

・大規模な人員削減
・求人需要の激減
・倒産の増加

という三重苦に見舞われています。

ゲルハルディ社の事例は氷山の一角にすぎず、多くの部品メーカーが同様の課題に直面している可能性があります。

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