無保険車が増加の悪循環に陥ったイタリア

2026年7月17日

すごく単純に欧州での自動車買い替え状況を説明するなら

  • ドイツ
    性能や安全性を重視し、数年乗ったら新しいモデルへ乗り換える人が比較的多い。法人リース・個人リースも普及している。
  • ベルギー
    社用車制度があるので、数年ごとに新車へ乗り換えるケースが非常に多い。
  • イタリア
    車がボロくなっても直せるなら直して乗る、止まるまで乗る人が多い

イタリアでは修理文化が昔から根付いることは確かですが、イタリアはドイツより20%~30%程収入が低いこと、自動車の保険料が高いことも要因の1つと言われています。

イタリアの自動車保険の現状

イタリアには約4,700万台の登録車両が存在するそうですが、そのうち全体の20%、約900万台が無保険状態で走行していると言われています。しかも、この問題は乗用車だけでなくて、バイクや大型トラックにまで広がっているのです。

この無保険問題は、特に南部で深刻で、ナポリでは乗用車の37%が無保険。

この無保険車問題は、乗用車以上に大型トラックの方が深刻で、ナポリで43%という驚くべき無保険率を記録しています。シチリア島にあるカターニアでは、トラックのような重量車の無保険率が48%に達していると言われていて、カターニアの道路を走っている大型トラックのほぼ半分が無保険という、信じられない事態になっています。

なぜ無保険車が多いのか

イタリアで無保険車が多い理由は、保険料が高く大きな負担になるからです。南部の無保険率が高い理由は、車両盗難や保険詐欺が多く、保険会社からリスクの高い地域に指定されているからです。

救済するはずの制度が悪循環を生む

イタリアには、無保険車や当て逃げによる事故被害者を救済するためのFondo di Garanzia per le Vittime della Strada(道路被害者保証基金)という公的な基金が存在します。無保険車に追突された場合などは、この基金から被害者に治療費や車両の修理代が支払われる仕組みです。

この基金の財源は、真面目に保険料を払っている一般のドライバーの保険料から数パーセントずつ徴収されて成り立っています。

ところが…

  1. 保険料が高すぎて無保険車が増える
  2. 無保険車による事故の補償で基金の支出増加
  3. 保険会社が損害を埋めるために、保険料をさらに値上げ
  4. 高くなりすぎて、また保険を解約する人が増える

この悪循環が状況を悪化させています。

公共道路を走る車両にはRC Auto(日本の自賠責保険に車両保険無しの任意保険がドッキングしたようなもの)と呼ばれる保険加入が義務付けられています。未加入で走行すると高額な罰金や、車両の押収などの行政処分を受ける可能性があります。しかし、約900万台が無保険状態で走行している車両を一網打尽にすることは物理的にも社会的・政治的にも極めて困難と言えます。とは言え、このまま見て見ぬふりをしていたらどんどん状況は悪化するので、今月から無保険車対策を強化する方針を打ち出しました。

実際にどれくらい保険料が高額か?

特に無保険車率が高い南部では、若者(18〜20歳)が保険(RC Auto)に新規加入した場合、年額2,000〜3,000ユーロ(約37万〜55万円)に達することもあるそうです。ボロボロの50万円位の中古車を買ったとしても、法律上は年額2,000〜3,000ユーロ(約37万〜55万円)の保険料を支払わなければなりません。また、RC Autoには車両保険が含まれていません。もし日本で言う「車両保険付き」のフルカバータイプの保険だった場合、年額4,000~6,000ユーロ(約74万円~111万円)になるそうです。

トラックの場合さらに高額です。

最良の条件(北部の優良企業の場合等)

  • 中型トラック(3.5〜12トン未満): 年間 約1,500 〜 3,000ユーロ(約27.7万円~55.5万円)
  • 大型トラック(12トン超・トレーラー等): 年間 約3,000 〜 5,000ユーロ(約55.5万〜92.5万円)

南部(ナポリ・シチリア)や個人事業主の場合

  • 大型トラック(12トン超・長距離輸送): 年間 約6,000 〜 10,000ユーロ超(約111万〜185万円以上)

いずれにしても、無保険車の尻拭い代が保険料にブレンドされていますので、このままだと保険制度そのものが崩壊しかねません。


好きな車と、暮らそう。

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