今回のVWの危機は今までの危機と比べて質が違うと言われる理由

2026年7月13日

今、VWは創業以来最大の危機に瀕しています。ただし、VWが倒産寸前と言う話ではなく、これまで成功してきたビジネスモデルが通用しなくなり、事業構造を根底から変えなければ競争力を維持できなくなる恐れがあります。

VWはこれまで様々な危機を乗り越えてきました。

① 1970年代 ビートル終了危機

世界的大ヒットだったビートル(タイプ1)の販売が終了した時に訪れたVW最初の危機が、ビートル終了危機です。この最初の危機を乗り越えたのが、GOLFの成功です。

② 1993年の経営危機

欧州を襲った大不況と、VWの高コスト体質が巨額の赤字を生みました。本当にやばい状況だったVWでしたが、ポルシェ一族の鬼才、フェルディナント・ピエヒCEOによる大胆な改革が大量解雇を阻止しました。

③ 2015年 ディーゼルゲート

まだ記憶に新しいのがディーゼルゲート。2015年にアメリカで発覚した大規模な排ガス不正。排ガス検査時のみに有害物質の排出を抑える裏技を使っていたことがばれて、巨額の罰金やリコールコストを支払うことになり、創業以来最大の赤字を計上。

主にこの3つですが、2004年~2006年の収益悪化、2020年~の新型コロナによる半導体等の部品不足も乗り越えています。

今回の危機は、今までの危機とは質が異なる、非常に回復の道が困難な危機に瀕していると言われています。

過去の危機との決定的な違い

過去の危機は、ある程度時間が解決してくれた要素もありました。つまり、嵐が過ぎ去るのを待っていれば回復しやすい状況だったと言えます。

しかし、今回の危機は

・ドル箱だった中国市場で失速した。
・中国自動車メーカーと言う強力なライバルの台頭
・巨額投資したEVで後戻りが困難
・売れていた時代に妥当だった高い給料が重石に

VWが検討している身を切る改革

VWは過去のコスト削減とは次元の違うレベルの改革を検討しています。

・ドイツ国内の4工場閉鎖
・10万人規模の人員削減
・モデル数を約半分に減らす
・仕様(オプション等)の複雑性を75%削減
・プラットフォームやソフトウェアの統合

さらに

VWグループ傘下のアウディの管理下にある、「ランボルギーニ」と「ドゥカティ」の売却を検討していると報じられています。

さらにさらに、ポルシェの高額報酬モデル(6桁報酬)にもメスが入る恐れがあります。6桁報酬とは100,000ユーロ(日本円で約1840万円)以上の報酬のこと。

ポルシェは全世界の従業員45,000人のうち、約半数の23,000人がドイツ国内で働いています。23,000人のうち、9,000人が年収10万ユーロ(一般的なドイツの民間平均の約2倍)を超えています。

ただ、ドイツにはIGメタルという非常に強い力をもった労働組合が存在します。それでも、会社が生き残ることが、従業員の雇用を守ることにつながることは分かっていますから、いつまでも拒否し続けることはしないでしょう。どこで折り合いをつけるか話し合っている最中だと思います。


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