EU、Made in Chinaのタイヤに反ダンピング関税を課す決定
インフレや自動車価格の高騰に苦しむ欧州の一般消費者は、少しでも車の維持費を抑えたいと思っているはずです。
しかし、EUが中国製タイヤに反ダンピング関税を課すことを決定しました。この措置は5年間にわたり適用されるそうです。
税率は4.3%~45.3%です。かなり幅がありますが、その説明は後ほどします。
中国製タイヤの急速なシェア拡大
以前は安かろう悪かろうの評価を受けていた中華タイヤですが、近年品質が向上してから欧州でのシェアを拡大しています。
「ミシュランで900ユーロ払うより、中国メーカーで400ユーロならそれで十分だ」
と思う消費者が増えているのです。
具体的には、EUの調査によりますと、中国からのタイヤ輸入量は2021年から2024年の間に62%急増(年5,700万本から9,300万本へ)しました。欧州市場での中国製タイヤのシェアは18%から28%へと拡大し、地元欧州メーカーの雇用削減などを迫られる要因となっていました。
身を切る関税
この関税、中国メーカーのみに課せられるわけではなく、欧州のタイヤメーカーであっても、Made in Chinaだと関税を支払わなければなりません。ミシュランやピレリーも中国国内に巨大な自社工場を持っていて、大量にタイヤを生産しています。ミシュランやピレリが中国工場から欧州へ送るタイヤには、関税が上乗せされます。
中国製タイヤの市場侵食のスピードが凄まじく、身を切ってでも関税をかけなければならなかったのでしょう。
税率は4.3%~45.3%の理由
EUは事前にダイビング調査をしていました。中国製造タイヤの原価、販売価格、補助金の有無、利益率、生産コストなどの詳細なデータの提出を企業に求め、そのデータをもとに個別のダンピング率が計算されます。この調査への協力度合いによって税率が変わるシステムだったようです。
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低税率(4.3%): 中国の自社工場で製造し、調査に全面協力した韓国のハンコック(Hankook)など。
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中間税率(24.4%): 調査に協力した約60社。中国に生産拠点を移転したピレリ、グッドイヤー、コンチネンタル、住友ゴムなどの主要グローバルブランドの中国製造分も含まれます。
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高税率(45.3%): 調査に協力しなかったその他の全メーカー。恐らく、大半が中国本土の中小メーカーで、都合の悪い証拠を隠していると判断された。
反ダンピング関税の効果はあるのか?
短期的に見れば、反ダンピング税によって消費者の負担は増えると考えられます。特に低価格タイヤを選んできた消費者層にとっては、タイヤ交換費用の上昇は避けられないでしょう。
一方で、EUや加盟国が主張するのは、もっと長期的な視点です。欧州メーカーが適正な利益を確保できれば、欧州工場の維持や雇用の確保につながり、その結果として欧州経済全体にプラスの効果をもたらす。そして、その恩恵はいずれ国民にも還元される、という考え方。
しかし、この「長期的な恩恵」が本当に消費者一人ひとりにまで届くのでしょうか?
確かに数社のメーカーや数万人規模の雇用を守ることには大きな意味があると思います。しかし、その効果が数百万人、数千万人の消費者へ広く還元されるかというと、それは別の問題。
極端な例えですが、水で何度も薄めたオレンジジュースのように、恩恵があまりにも広範囲に分散されてしまったら、多くの消費者は「恩恵を受けた」と実感できない可能性もあります。
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