「2035年エンジン車禁止」方針が事実上の撤回へ!

2026年6月16日

EUが掲げていた「2035年にエンジン車の新車販売を原則禁止する(CO2排出量を100%削減する)」という方針の転換。
その背景や具体的な中身をさらに深掘りしてみます。

自動車業界の勢力図を大きく変えるこのニュースは、2025年末に欧州委員会が発表した「自動車政策パッケージ」が引き金となっています。

1. 規制はどう変わるのか?(「100%削減」から「90%削減」へ)

最大のポイントは、メーカーに課されるCO2排出削減目標の「数値の緩和」です。
これまでは「走行中にCO2を出さない車(BEVやFCEV)」しか認めない方針でしたが、目標が90%に緩和されたことで、「優れた環境性能を持つエンジン車やハイブリッド車」であれば2035年以降も新車として販売できる道が残されました。


2. なぜEUは「全面禁止」を撤回したのか?

ディーゼル不正問題(2015年〜)以降、欧州は官民挙げて「EV一本足打法」に賭けていましたが、ここにきて現実の壁にぶつかりました。
EV市場の急激な失速(デス・バレー現象) ドイツなどがEV購入補助金を廃止した途端、EVの販売シェアが大きく低迷。
高額な車両価格、冬場の航続距離低下、充電インフラの整備遅れから、一般の消費者が「次もガソリン車やハイブリッド車がいい」と敬遠し始めたためです。

・欧州主要自動車メーカーの悲鳴と政治的圧力
フォルクスワーゲン(VW)をはじめとする欧州メガメーカーや部品サプライヤーが、EVの売れ残りによる在庫過多や業績悪化に苦しみ、大規模なリストラを余儀なくされました。
これに対し、ドイツ政府やドイツ自動車工業会(VDA)などが「雇用と産業を守るために規制を柔軟化せよ」と欧州委員会へ強烈なロビー活動(働きかけ)を展開しました。

・中国製安価EVへの警戒
欧州がEVを強制すればするほど、サプライチェーンを牛耳る中国製の安価なEVに市場を侵食されるという皮肉な結果を招きました。
欧州の産業競争力を守るためにも、得意な内燃機関・ハイブリッドの技術を全否定するわけにはいかなくなったのです。


3. 日本の自動車メーカーや今後の市場への影響

この方針転換は、日本のメーカー、特にトヨタをはじめとする「マルチパスウェイ(全方位戦略)」を貫いてきた陣営にとって、非常に有利な風が吹くことを意味しています。

・ハイブリッド技術の再評価
世界最高峰の効率を誇る日本のハイブリッドシステム(HEV/PHEV)は、欧州の「2035年・90%削減」という厳しいハードルをクリアするための現実解として、再び世界から熱い視線を浴びています。

・ただし「厳しい条件」というトラップも!
EU側もただ降伏したわけではありません。今回の容認には、車両を組み立てる際に「製造時のCO2排出を抑えたグリーン鉄(グリーンスチール)を使うこと」や、燃料に「バイオ燃料やe-fuelを一定割合混ぜること」といった、別の厳しい前提条件が課される見込みです。


ただし、EU側もただ条件を緩めたわけではありません。
2035年以降にエンジン車を売るためには、「車両の製造時にCO2排出を抑えたグリーン鉄(グリーンスチール)を使うこと」や「バイオ燃料をブレンドすること」といった、新たなハードルを課す構えです。
長期的な「2050年カーボンニュートラル」のゴールは変わっていませんが、そこに至るまでのアプローチは「EV一択の理想論」から「使える技術をすべて使う現実路線」へと完全にシフトしました。

自動車が進化する反面、ディーラー以外直せない!
こんな時代がすぐそこなのかも知れません。

好きな車と、暮らそう。

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