中国自動車メーカーの薄利多売ってどうなの?
今日は、2025年の世界新車販売、中国車が日本車上回り総台数で初の首位になった件について。
課題が残る首位
中国の自動車メーカーが急成長して、日本が1位の座を明け渡すことになりましたが、手放しで喜べない課題があると指摘されています。
それは、各メーカーが健全な独立採算として成り立っているのか?
生産過剰と激しい価格競争により、販売台数は伸びても利益が圧迫されているメーカーが多いのが現状。2025年12月の中国自動車業界全体の利益率は、わずか1.8%まで低下していると言われています。1.8%と言う事は、500万円の車1台売って9万円の利益ってことになります。
ただ、中国の自動車メーカーは玉石混交で、BYDのような勝ち組企業はもっと利益率は高いと言われています。ということは、多くの企業はほぼ間違いなく赤字経営ってことになります。玉は少数で、大半が石、これが今の中国の自動車メーカーの分布です。
「淘汰が進むも」想定内だが
今後中国の自動車メーカーの負け組企業が淘汰がさらに進む時代に突入します。しかし、中国政府にとってそれは想定内です。中国の国家レベルの自動車産業育成戦略は、意図的な乱立と残酷な淘汰が組み合わさっているからです。
淘汰が進むことは中国政府も分かっていたと思いますが、1つ大きな誤算があるとしたら、BYDのような企業が想定以上の業績を残していることだと思います。この想定外の優良企業に育て上げることを手助けしたのが、皮肉なことに欧州のEVシフト。中国にとっては嬉しい誤算、欧州にとっては痛い誤算となりました。
薄利多売がBYDを強くする
同じ規模のラーメン屋さんが2店あったとします。
| 店舗名 | 価格構成(原価→販売価格) | 1日の来店数 | 1日の利益 |
|---|---|---|---|
| A店 | 600円 → 700円 | 300人 | 30,000円 |
| B店 | 800円 → 1,100円 | 100人 | 30,000円 |
どちらも1日の利益は3万円ですが、同じ3万円を設けるのにA店は3倍の忙しさになるので、B店が健全なビジネスに見えます。B店はラーメンにしては高級ですね。薄利多売は体力を削られて忙しいのに儲からないと言われていますが、BYDのような企業はその限りではありません。
その理由は
- 規模の経済が効く
→ 台数が増えるほど1台あたりのコストが下がる、つまりスケールメリットを享受できる - 垂直統合で利益を内部に取り込める
→ 電池・部品を内製しているので、外部に払う利益を自社で回収 - 低価格で市場シェアを一気に拡大
→ 競合が価格でついてこれないのでシェアを急速の広げられる。特に新興国。 - 競争相手を淘汰できる
→ 価格競争で競合他社を市場から脱落させる - サプライヤーへの交渉力が強まる
→ 材料等の調達コストがさらに下がる - 生産量増加でキャッシュフローが回る
→ 利益率が低くても総利益は積み上がる - データ蓄積で製品改良が加速する
→ ソフト・品質・性能が向上。垂直統合企業は特に有利。→ 安さ+普及で存在感が一気に上がる
日本の企業はラーメン屋でいうA店で戦うのではなく、B店を目指すべきだと思いますが、BYDはB店の品質のラーメンをA店の価格で提供するようなことを成し遂げているから厄介なのです。
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