EUがエンジン車禁止を緩和、それでも欧州メーカーに勝ち筋が見えない理由

2025年12月17日

EUが2035年の内燃機関車(ガソリン・ディーゼル)全面禁止方針を事実上緩和する方針を発表しました。

「やっぱりそうなったか」

と思われた方も多いのではないでしょうか。

欧州の自動車メーカーもこの方針には現実的な救済策として概ね歓迎しているようです。しかし、EVに舵を切ったメーカーにとっては大きな投資をしてきましたので心境は複雑だと思います。


追い風となる自動車メーカーは

圧倒的に有利なトヨタ

最も恩恵が大きなメーカーは間違いなくトヨタです。全方位戦略が見事的中したと言えます。しかも、今後いずれ世界で再びEVシフトが進む頃には、全固体電池と言う手札も準備できている可能性が高いです。

自動車メーカー全体的には追い風だが…

今回の緩和方針は、テスラのようなEV専業以外の歴史のある自動車メーカーにとって、全体的には追い風でしょう。しかし、全てのメーカーが手放しで喜べる状態ではありません。VWやステランティスはかなり回り道をしたことになります。VWはEV一本化に向けて巨額の投資を行ってきましたし、主要工場閉鎖も進めて来ました。


中国の自動車メーカーが受ける影響は?

今回のEUの緩和方針に大きな影響を与えたのが中国の自動車メーカーの台頭です。では、中国の自動車メーカーにとって、今回の緩和方針がどんな影響があるのでしょうか。中国の力のある自動車メーカーは、恐らく今回の緩和方針は想定内だったと思います。

空白の期間にPHEVを開発してきた中国の自動車メーカー

欧州の自動車メーカーがEVシフトに振り回されていた空白の期間に、BYDやGeely、長城汽車、Chery等は、PHEVの開発を進めてきました。特にBYDのPHEV技術「DM-i」はとても高性能で、満タン満充電で2000km位走行できるモデルが存在します。今後BYDはDM-iを主力武器として猛烈な攻勢を仕掛けてくると思われます。


欧州の自動車メーカーはどう反撃するか

欧州の自動車メーカーを取り扱っている弊社としては、欧州メーカーがどう反撃するのか興味があります。しかし欧州の自動車メーカーの勝ち筋が見えません。

トヨタのハイブリッドを真似することは極めて困難です。初代プリウス販売開始から四半世紀以上経過していますが、その間にトヨタはハイブリッドの性能を確実にアップデートしてきました。一方欧州の自動車メーカーは、トヨタのハイブリッドを否定し続ける立場をとってきました。四半世紀の間に高い熟練度の壁が出来上がってしまったのです。

だったら、技術的難易度がトヨタのハイブリッドシステムより低いBYDのDM-iを真似すれば良いのでは?しかし、これも極めて難しいと言われています。その理由は、技術的な問題ではなく、BYDと同じようなコストと性能で量産し、利益を出すことが不可能だから。BYDはバッテリー、モーター、パワー半導体、制御ユニットに至るまで、自社で作る垂直統合モデルです。これを実現させるには、今まで積み上げてきたノウハウを多くを放棄し、強力な労働組合のある自動車部品メーカーとの取引を止め、サプライチェーンを再構築しなければなりません。国の基幹産業を揺るがす決断は政治問題に発展、大混乱が起こります。

欧州メーカーにとって、この猶予期間は組織を再建する、極めて苦しいリハビリ期間になることは間違いありません。EUの今回の判断、あまりにも遅すぎました。


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