日産、2工場閉鎖検討の裏で東風汽車と生産共有?
日産自動車が神奈川県内にある2工場閉鎖を検討していると言う驚きのニュース。
「まさか追浜工場が!?」
と思われた方も多いと思います。
この発表の裏で、日産は中国の東風汽車集団に
「世界にある我が社の工場を使って自動車を生産しないか?」
と提案していたとBBCが報じています。
日産と東風汽車の関係
なぜ日産は東風汽車を選んだのか。日産は中国の東風汽車と合弁会社、東風日産を設立して、中国市場向けに車両を生産・販売しています。中国では2022年1月1日まで、外資が100%出資で自動車製造を行うことは禁止されていました。そのため、中国国外企業は中国企業と合弁会社を設立する条件が必須でした。この関係があって東風汽車を選んだ可能性があります。
事業再編の一環
日産は世界的な事業再編を進めて行かなければなりません。この工場共有の提案は、日産が効率アップやコスト削減、パートナー再構築を検討していて、事業再編の一環として浮上した案だと思われます。
減損リスク回避も狙い?
日産が巨額な赤字になりましたが、この赤字は減損処理が大きく影響をしています。
減損処理を簡単な例で説明しますと
- 700億円で工場を建設(帳簿上で固定資産)
- しかし予定していたよりも著しく生産台数が少ない
この場合、将来的に投資額を回収できない程度まで低下した、判断されたら減損処理を行うことになります。700億円で建設した工場の現在の価値が300億だった場合、帳簿上では400億円*の赤字を計上することになります。*実際には減価償却が入るので、400億円より減ります。
つまり、東風汽車が日産の工場を間借りすることで生産台数を増やし、減損リスクを回避する狙いがあるのではないでしょうか。
どんな運営方法?
まだ提案の段階なので今後どうなるのか分かりませんが、もしこの話が実現した場合、東風汽車の自動車をどちらの従業員が組み立てるかが気になります。
- 東風汽車が設計した車両を、日産側が受託生産をする。所謂OEM。
- 東風汽車が日産の工場に入り、東風汽車の従業員を派遣して組み立てる。つまり、1つの工場に複数企業が自動車を生産する方式。
この日産が東風汽車に提案した工場共有は、双方にとってメリットがあると思います。
- 日産自動車
減損処理を回避でき、固定費の回収ができる。負の資産になりうる工場を活かすことができる。 - 東風汽車
海外工場建設コスト回避。日産工場品質だと謳える。
もちろんメリットばかりではありません。日産の業績が回復して需要が急増しても、東風汽車の生産をしている関係で生産調整困難になったり、技術流出等の恐れもゼロではありません。
後は、この話がまとまるかどうか。日産は赤字を減らしたいと言う強い動機があります。もちろん東風汽車もそれを知っています。となると、東風汽車はかなり条件の良い提案を期待している可能性があります。
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