CATLが描くEVの未来|次世代バッテリーまとめ

2025年4月23日

EVの普及するかしないかはバッテリーの性能が大きく影響します。

現時点でEVの弱点は

  • 車両重量が重くなる
  • 航続距離が心配
  • 寒冷地など、極端な気候に弱い
  • 燃料給油時間に比べ充電時間が長い
  • バッテリーが高価

これらの問題は、バッテリー性能が上がれば解決します。これを最初に解決するのはどうやら中国のメーカーになりそうです。

BYDがスーパーeプラットフォームに搭載される閃充電池(フラッシュ充電バッテリー)と呼ばれる、高性能バッテリーを発表しました。1MW(1000kW)の超高速充電が可能で、わずか5分の充電で最大400km走行可能になるそうです。燃料給油時間に比べ充電時間が長い、と言われているデメリットはある程度解決してくれる技術ですね。

BYDの閃充電池はつい先月発表されたばかりですが、昨日中国のバッテリーメーカーCATL(寧徳時代新能源科技)が新バッテリーを発表しました。

CATLが10年の歳月をかけて開発を進めていたNaxtraは、ナトリウムイオンバッテリー。その名の通り原材料がナトリウム。リチウムイオンバッテリーと比べて原材料が豊富なので、入手が容易で安価というメリットがあります。またNaxtraは-40℃の低温環境下でも90%以上の充電容量を維持できるそうです。これまでのEVに搭載されていたバッテリーが苦手としていた低温環境下での性能維持を実現。-40℃以下になると、内燃機関車にとっても極めて過酷な環境ですから、Naxtraの寒さ対策は十分だと言えます。


youtu.be/J6gaDQL64AYより引用”

ナトリウムイオン電池、リチウムイオン電池(NMC:ニッケルマンガンコバルトなど)、リン酸鉄電池(LFP)との性能比較
(◎:非常に優れている、◯:優れている、△:やや劣る、?:評価が定まっていない)

比較項目 ナトリウムイオン電池 リチウムイオン(NMC等) リン酸鉄(LFP)
エネルギー密度 ◯(約150〜175Wh/kg) ◎(200Wh/kg以上) ◯(160〜180Wh/kg)
高温耐性 ◎(-40℃でも性能維持)
安全性
原材料コスト
資源の入手性
技術成熟度 ?(新技術なのでまだ不明)

CATLが発表した新型バッテリーはNaxtraだけではありません。リン酸鉄ベースのShenxing第2世代も発表しました。第1世代のShenxingは2023年に発表されましたがその二代目です。

恐らくNaxtraは低価格車~中価格帯EV、商用EV向け、Shenxingは中〜高価格帯EV向け(プレミアムクラス、大型SUV等)に採用されるのだと思います。

特徴 第2世代 Shenxing バッテリー Naxtra バッテリー (乗用車向け)
タイプ リン酸鉄リチウム (LFP) ナトリウムイオン
エネルギー密度
航続距離 ◎ 最大800km
充電速度 ◎ 5分で520km走行回復 現時点では不明
低温性能
-10℃で5%→80%を15分で充電可
低温下でも高出力

-40℃で90%の容量維持
-40℃でも出力低下なし
サイクル寿命 現時点では不明 ◎ 10,000回以上
安全性
コスト
主な強み 超急速充電
高航続距離
低温性能
低コスト
低温性能
長寿命

さらに、CALTはNaxtraと第2世代 Shenxingに加え、Freevoy Dual Powerと呼ばれるこのデバイスも発表しました。


youtu.be/J6gaDQL64AYより引用”

これは車両に2つの独立したバッテリーセルを搭載し、適切に電気を使い分ける事によって航続距離を1500kmにすることができるそうです。異なる特性を持つバッテリーを組み合わせることで、それぞれの得意な状況で効率よく電気を使うイメージでしょうか。

現時点でCATLはこのFreevoy Dual Powerについてあまり詳しく説明していませんが、バッテリーを2つ搭載すれば当然その分航続距離が伸びることはどのメーカーでも分かっていると思います。しかし、その分車両重量は重くなり、各機関への負担も増します。それでもCATLがデュアルバッテリーセルを採用すると言う事は、重量増加を大きく上回るメリットがあるのか、重量増加を最小限に抑える技術を持っているのかもしれません。

BYDとCATLはライバル関係にあります。この2者がバッテリー技術の激しい競争をしているので、他の国のメーカーはとても太刀打ちできない状況になっています。

BYDが自社でバッテリーを開発していますが、これができるのはBYDは元々バッテリーメーカーだったからです。バッテリーの開発から車両製造までを一貫して行う垂直統合が、他の自動車メーカーが真似できない部分です。

CATLのバッテリーは中国の自動車メーカーだけではなく、世界各国の自動車メーカーのEVに採用されています。

新型リーフの航続距離が600km超えるとのニュースが話題になっていますが、日本の自動車メーカーも頑張ってほしいですね。

やられっぱなしじゃ面白くないので、日本の自動車メーカーもここらで全固体電池や水素で自動車業界に大きな衝撃を与えて欲しいところです。


好きな車と、暮らそう。

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