日本で乗られていた中古車が楽園を汚している
日本国内で車を購入する際、私たちは「シュレッダーダスト」「エアバッグ類」「フロン類」「その他」の品目についてリサイクル料金を支払っています。この制度は使用済み自動車の適切な処理を目的としていますが、すべての使用済み自動車がそのように処理されている訳ではありません。
その理由は、使用済み車両の多くが国内でリサイクルされる前に中古車として海外へ輸出されているためです。日本から様々な国に中古車が輸出されているのですが、それによって起こっている問題は、特に面積が狭い国で顕著に現れます。
その典型的な例が、太平洋に位置するキリバス共和国です。首都にあたるタラワ(環礁島)は居住可能な土地が極めて限られています。キリバスは日本と同じ右ハンドル仕様のため、現地の車両の大半が日本からの中古車で占められています。
長持ちすることで知られている日本の中古車であっても、タラワでは10年位で廃車になってしまいます。
その理由はこのマップを見れば一目瞭然。
どんなに海から遠ざかろうとしても、200~300メートル以上離れることができない地形。塩害と高温多湿、強い紫外線の影響を受け、短時間で車は腐食してしまいます。また、整備環境も整っていないため適切なメンテナンスを受けられないことも、早期の故障につながっています。
キリバスでは車を輸入しても、動かなくなり廃車になった車両を適切に処理することができませんでした。南タラワの道路沿いや空き地、海岸に故障した車やトラックが多数放置され、深刻な環境問題を引き起こしていました。放置された車両は土壌汚染、海洋汚染、景観悪化に繋がります。もし自分が乗っていた車が、南の楽園の海を汚していたら嫌ですよね。
自動車は金属だけでできている訳ではありません。プラスチック、ゴム、ガラス、ガラス繊維等、複合素材でできているので、ある程度ノウハウが無いとリサイクルができないのです。
しかし、そんなキリバスでも2023年にMRFプロジェクトが始動しました。MRFはMaterial Recovery Facilityの略で、この施設では廃車や廃家電から有価物を回収し、海外へ輸出することで適切な処理を目指す待望のプロジェクト。
キリバスのMRFプロジェクトがどれくらいの成果を上げるのかはまだ分かりません。この問題はキリバスに限らず多くの環礁諸国や、小さな島国が直面している課題です。
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