格納式ドアハンドル、中国は大規模リコール。欧州はなぜ動かない?

2026年8月29日

中国では、衝突した際の車内の非常解除レバーが視認・操作しにくい問題についての大規模リコールが発生しました。

中国では以前から格納式・フラッシュドアハンドルが、事故後のレスキューが困難になる危険性を問題視してきましたが、いよいよリコールになりました。

中国では2027年~の新車は、格納式・フラッシュドアハンドルは禁止が決まっています。

何が危険なのか?

格納式・フラッシュドアハンドル採用車両の危険は「車外」と「車内」の両方にあります。

  • 車外(救助)
    電源が切れるとハンドルが埋まったまま出てこず、外からドアを開けられない。
  • 車内(脱出)
    内側のドア開閉も電気ボタン式が多く、電源が落ちてしまうと隠された緊急手動レバーを探す必要があるが、パニックで見つけられない。

つまり、中から出られず、外からも助け出せない状態になります。

中国史上最大の約430万台のリコール

今回のリコール対象は約430万台、中国史上最大のリコールになりました。

  • TESLA 約298万台
  • Xiaomi(小米): 約39万台

  • Leapmotor(零跑汽車): 約37.1万台

  • Xpeng(小鵬汽車): 約26.4万台

  • その他、Geely(吉利汽車)などのメーカー

どう対策するのか?

この格納式・フラッシュドアハンドルのリコール、どうやって対策するのでしょうか?

「全車両のドアを物理的に改修する」となった場合、天文学的なコストと時間がかかります。ドア構造そのものを物理的に設計変更・改修することは事実上不可能です。

  • アナログな対策
    緊急時のドア解除レバーの場所を示すステッカーを車内に貼付。パニック時に発見できるよう、目立つステッカーにする必要があります。格納式・フラッシュドアハンドルを採用するような近年の乗用車は、インテリアもデザイン性を優先しています。テスラのようなミニマリズムな車内に目立つステッカーを貼ることは避けたいのが本音?
  • OTA更新で制御対策
    衝突時に電源が落ちる前に窓ガラスが自動全開になるよう制御するプログラムをOTAで配信する。

欧州ではリコールにならないの?

中国で格納式・フラッシュドアハンドルがリコールになりましたが、欧米では現時点ではリコールになっていません。中国はこれを自動車業界全体での問題と捉えていました。また、強力な行政権限があるので、問題の認定からメーカーへの対応要求、そしてリコール実施までの距離が短くなりスピードリコールが実現したのだと思います。

去年ドイツのシュヴェルテでテスラ車が木に衝突して炎上する事故が発生し、乗っていた43歳の男性と9歳の子ども2人が死亡、1人の子どもが脱出しました。

現場に駆けつけた消防隊員は、事故発生時に居合わせた第一発見者が搭乗者を救出しようと試みたものの、ドアが開かず救出できなかったそうです。

このテスラモデルYは、衝突時にドアが自動解錠され、窓が開く仕様だったそうですが、なぜかそれが作動していませんでした。衝突と同時に電源喪失した可能性なのかもしれません。

しかし、オランダの型式認証当局RDWは「現時点で欧州における該当のリコールはない」と明言。ただ、問題として認識はしているようです。テスラモデルYの事故調査は1年近く経過していますが、まだ調査が続いています。

各メディアは、消極的な当局に対し、対応が遅いと問題視しています。


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