DPF搭載ディーゼル車のエンジンオイルが不足している

2026年8月21日

今、ディーゼル用のエンジンオイルが足りません。

在庫確保しようと調整はしていますが、思うように入荷されない状況が続いています。お客様にはお待ち頂いていますが、この問題長期化する恐れがあります。

Group III ベースオイル価格が急騰

3月にイランがカタールにあるシェルのGTL(天然ガス由来油)プラントを攻撃したことで、高品質なエンジンオイルのベースオイル”Group III”の供給網が深刻な打撃を受けました。欧米のGroup IIIベースオイルの価格は開戦前の約3倍にまで急騰し、1トン当たり約4,000ドルに達しています。

下のグラフ、2026年に入り、欧州(青線)は4,000ドル/トンを突破。米国(ピンク線)も3,500ドル以上と、垂直に近い形で過去最高値を更新しています。

DPF付きディーゼル車にとって深刻な問題

Group IIIはAPI Group IIIに分類される高度精製ベースオイルは

  • 0W-20
  • 0W-16
  • 0W-8
  • 5W-30
  • ロングライフオイル
  • 欧州車向け低灰分・省燃費オイル

などの製造に欠かせません。

特にDPFを搭載したディーゼル車では、エンジンオイルに含まれる添加剤由来の灰分がDPFに蓄積して目詰まりや故障の原因になるので、低灰分・低SAPS*のオイルを使用することが重要です。*SAPS=SA(硫酸灰分)、P(リン分)、S(硫黄分)

ただし、DPF搭載車だからといって、必ずしもGroup IIIのオイルでなければならない、と言うわけではありません。車両メーカーが指定する粘度とACEA規格やメーカー承認などの要求を満たしたオイルを使用することが重要です。

一方、最近のハイブリッド車などで指定される0W-16、0W-20のような低粘度オイルは、メーカーが認める範囲であれば、5W30のようなオイルを一時的に使用できる場合があります。ただし、5W-30なら何でも良いというわけではないので、メーカー等に代替粘度・規格を確認する必要があります。

アメリカ企業、韓国とGroup IIIの長期供給契約

アメリカのテキサス州の民間精製会社HF Sinclairの潤滑油・特殊品部門が、韓国のSK EnmoveのYUBASEと呼ばれるGroup IIIベースオイルの長期供給契約を結びました。韓国は原油が1滴も出ない国ですが、国策で世界最高水準の巨大石油精製・高度処理プラントを育ててきました。しかし、アメリカは消費するGroup IIIベースオイルがかない多い国なので、エンジンオイル価格は高止まりが緩和されるかは疑問です。

しかし、今回のHF Sinclairによる韓国ルート確保は、Group IIIの調達先を中東依存から分散するための重要な一手だと思います。

日本はどうなる?

日本では、DPF搭載車用のエンジンオイルにさらなる品薄や価格転嫁が起こり、価格が上昇する可能性があります。

しかし、今回の混乱で本当に注意したいのは価格だけではありません。オイルが入手しにくくなることによって

「同じ粘度なら大丈夫だろう」

と適合しないオイルを誤用してしまうリスクがあります。DPF搭載車では、単に粘度が同じかどうかではなく、低SAPS性能やJASO、ACEA、メーカー承認など、車両メーカーが指定する規格を満たしていることが重要。

「高いけれど適合したオイル」と「安いけれど不適合なオイル」を比べれば、オイル代の差よりも、DPFやエンジンを傷めた場合の修理費のほうがはるかに大きくなる可能性があります。


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