欧州自動車メーカー、川の水位が下がりコスト上昇
今夏、ヨーロッパでは記録的な猛暑と干ばつにより、ドナウ川やライン川の水位が過去最低水準まで低下しています。
ダチアは電力不足で工場出荷停止
ドナウ川の水位が激減し、原子力発電所の冷却に必要な水が不足。ルーマニア政府はブラックアウトを防ぐため、産業界に対して電力消費の削減・停止を要請。
ルーマニアのダチアとフォードの生産工場が8/19まで一時停止することを発表。このまま水位が上がらなければ欧州市場への供給遅延につながる可能性があります。
ルーマニア海軍は、チェルナボーダ原発の冷却水を確保するための緊急措置として、ドナウ川の川底にある岩盤(水の流れを妨げていた岩の塊)を爆破したとも報じられています。かなり逼迫した状況と言えますね。
より深刻なハンガリー
ルーマニア以上にドナウ川の干ばつで自動車供給に深刻なの影響がでるのはハンガリーです。ハンガリーにはアウディメルセデス・ベンツ、スズキ、BMW等の自動車工場が集積しています。
しかし、パクシュ原子力発電所がルーマニアと同様の影響を受けて電力不足に陥り、節電や減産要請リスクが高くなっています。
物流にも大きな影響
川の水位低下は電力不足だけではなく、物流にも大きな影響を与えます。ライン川はドイツ、オランダ、フランス、スイスなどを結ぶ欧州最重要の物流ルートです。自動車生産に必要無原材料や完成車の運搬を水上輸送していましたが、ライン川の水位が低下することでサプライチェーン・物流に遅延と、コスト高騰が襲いかかります。
以前にもライン川の干ばつでドイツのGDPが押し下げられた経緯がありますが、今夏はより深刻で船の積載量が1/5(20%)にまで落ち込んでいます。
干ばつが長引いたらかなり厳しい
この水位低下は、かなりまとまった雨が広範囲に降り続かないと回復しないと言われています。もし9月~10月秋口まで影響が長引いたら、固定費増で苦しんでいる欧州の自動車メーカー(特にVW)にとって、かなりの痛手になります。そして、最も恐れているのは、この渇水が今後毎年起きるのか?これは予測が難しいと思いますが、自動車メーカーはそういったリスクも考慮する対応に負われることになります。欧州の自動車メーカーはこれ以上コストはかけたくないところ。しかも成長を見込むための投資ではなく、守るための投資になるので尚更です。
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