輸出を止められない中国車メーカーの事情

2026年8月3日

中国EV市場は成長を続けていますが、中国国内市場は価格競争が激化。巨額投資で生産能力が過剰になっている中国の自動車メーカーは、世界に輸出する戦略に舵を切っています。

輸出が好調な中国の自動車メーカー3社

中国の自動車メーカーで特に輸出が好調なのが

1. Chery Group(奇瑞自動車)

  • 中国自動車メーカーとして初めて単月での輸出20万台突破を達成(5ヶ月連続で中国メーカーの月間輸出記録を更新)。グループ全体販売の約73%を輸出が占めていて、完全に海外主導の成長フェーズに入っています。

2. BYD(比亜迪)

  • 7月の海外輸出台数は179,841台(前年同期比 +124.3%)。乗用車およびピックアップトラックの海外販売で単月としての過去最高記録を更新。月間総販売台数の約43%を海外市場が占めています。

3. Geely Auto(吉利汽車)

  • 7月の海外輸出台数は 106,663台(前年同期比 +202.4%)。前年比3倍以上の猛烈な伸びを見せ、過去最高を更新。2ヶ月連続で月間輸出10万台の大台を突破していて、1〜7月の累計輸出も前年同期比164.8%増と急拡大。

生産の手を緩めることができない事情

中国の自動車メーカーは巨額投資による過剰設備で、必要以上に生産能力が高くなっています。それでも各社が生産の手を緩めないのは、減産すれば市場シェアを競合に奪われ、スケールメリットも崩れて価格競争力を失ってしまうからです。さらに工場の稼働率が下がれば収益は悪化し、サプライチェーンまで弱体化しかねません。だからこそ、泳ぎ続けなければ窒息してしまうサメのように、ひたすら生産し続けるしかないのです。

世界の自動車が中国車だらけになる?

中国自動車メーカーの輸出の勢いがこのまま続けば、世界の中国車のシェアがさらに大きくなります。

欧米は自国産業を守るために、中国車に対して高い関税をかけて抵抗する動きを見せています。しかし、関税は自国市場を守ることができても、第三国市場でのシェア喪失を防ぐことはできません。また、中国の自動車メーカーは関税の壁を越えるべく、輸出から現地生産への転換を進めています。

日本は日本の自動車メーカーがとても強力なので、中国車が今すぐシェアを伸ばすことは考え難いです。しかし、日本の自動車メーカーが今まで輸出していた国のシェアをどんどん中国車に奪われています。特に日本の自動車メーカーが強かった東南アジアはBYDやMG(上汽系)が急速にシェアを伸ばしています。

自動車にも当てはまる中国の破壊的戦略

太陽光パネルは中国の価格破壊が凄まじすぎて、他国メーカーが「まともに戦えない」と、開発・製造を諦めています。通信機器、ドローン、バッテリーも中国企業が世界を席巻し、他国の競合メーカーを撤退や規模縮小へと追い込みました。

自動車は極めて高度で構造が複雑な工業製品なので、太陽光パネルのように簡単にはコモディティ化しません。しかし、コモディティ化しないにしても、中国が低価格車を輸出しまくることによって、既存の自動車メーカーの利益率が圧迫されることは避けられないと思います。


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